新様式は2種類
まず、大きな変更点として、届出方法が「通常の36協定」、「特別条項付きの36協定」の2種類に区分される。「特別条項付きの36協定」とは、法定時間外労働の限度時間(月45時間、年360時間)を超える可能性がある場合、通常の36協定に加えて「限度時間を超える時間外労働についての届出書」を別途届け出ることになった。
その他、協定様式内に「上記で定める時間数に関わらず、時間外労働および休日労働を合算した時間数は、1箇月について100時間未満でなければならず、かつ2箇月から6箇月までを平均して80時間を超過しないこと」という文言が加えられ、この文言箇所にチェックをつけないと協定の有効性が否定される(つまり、月100時間・平均80時間を厳守しなければならない)。
「限度時間を超える時間外労働についての届出書」とは
限度時間を超える時間外労働についての届出書については、特に下記3点において、今まで以上に注意が必要となるだろう。・臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合(事由)の内容
→ただ単に「業務上の都合」というだけでは足りず、突発的で止むを得ない事情があることを詳細に書かなければならない
・限度時間を超えて労働させる場合における手続き
→労働者側とどのように話し合うか
・限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置
→止むを得ず臨時に限度時間を超えて働かせた場合にどのような措置をとるのか
※限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保するための措置について、次の中から協定することが望ましいとされている。
(1) 医師による面接指導 (2)深夜業の回数制限 (3)終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)(4)代償休日・特別な休暇の付与 (5)健康診断 (6)連続休暇の取得 (7)心とからだの相談窓口の設置 (8)配置転換 (9)産業医等による助言・指導や保健指導
まとめ
重複するが、2019年4月1日以降に届出する36協定については、新様式により行わなければならない。従来、特別条項付36協定さえ締結してしまえば(実態として時間外労働に関わる上限はないものとされてきたことも影響していると思うが)、というおざなりな対応(毎年同一内容での提出等)をしているケースが散見された。しかし、36協定含め、「時間外労働の上限規制」導入を受け、今後これまでの運用ルール・働き方が大きく変わろうとしている。36協定についてもこれまで以上に「法令遵守」が意識された様式であることは一目瞭然で、記載についてもより細かな内容が求められる。労働者側と十分協議した上で、進めていかなければならない。
社会保険労務士法人ステディ
代表社員 瀧本 旭