・現在取り組んでいる(37.5%)
・現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定(25.6%)
・分からない(19.2%)
・取り組む予定はない(15.1%)
・以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない(2.6%)
「現在取り組んでいる」と回答した企業は37.5%。「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」(25.6%)と回答した企業と合わせると、6割超の企業が働き方改革への取り組みに“前向き”なことが明らかとなった。
働き方改革への取り組みに前向きな企業に対し、「(働き方改革において)最も重視する目的」について該当する項目を選んでもらった。上位5項目は以下の通り。
1位:従業員のモチベーションの向上(25.6%)
2位:人材の定着(19.8%)
3位:生産性向上(15.9%)
4位:従業員の心身の健康(健康経営)(15.4%)
5位:円滑な人材採用(8.9%)
働き方改革に取り組む目的として主に、従業員のモチベーションの向上や心身の健康など、従業員への影響を重視する傾向が見られた。他方で、事業内容や企業運営に関することを目的とする「コストダウン」や「企業イメージの向上」、「新商品開発などの新たな事業の創出」は上位に入らなかった。
また、働き方改革への取り組みに前向きな企業に対し、「今後新たに取り組む予定の項目」について尋ねたところ、結果は以下の通り。(上位3位まで記載)
〈現在取り組んでいる企業〉
1位:多様な人材の採用・登用(17.7%)
2位:人事評価制度・賃金制度の変更、改善(17.5%)
3位:勤務時間・制度の多様化(16.7%)
〈現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定〉
1位:休日取得の推進(41.9%)
2位:長時間労働の是正(37.9%)
3位:人材育成(34.9%)
〈全体〉
1位:休日取得の推進(24.8%)
2位:人事評価制度・賃金制度の変更、改善(23.9%)
3位:多様な人材の採用・登用(21.2%)
今後取り組む予定の項目としては、「休日取得の推進」が24.8%で最多。「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」の企業に限って見ると、「休日取得の推進」が1位であることに変わりはないが、それに次ぐ「長時間労働の是正」と「人材育成」がどちらも3割超となっている。
現在進行形の企業はどんな取り組みを行っているのだろうか。「働き方改革に取り組んでいる」と回答した企業に対し、「具体的内容」について聞いたところ、下記のような結果となった。
〈取り組んでいる内容〉
1位:長時間労働の是正(79.8%)
2位:休日取得の推進(61.8%)
3位:人材育成(56.3%)
4位:健康管理の充実(49.8%)
5位:定年の延長・廃止、継続雇用制度の導入(49.4%)
〈効果のある内容〉
1位:長時間労働の是正(30.3%)
2位:休日取得の推進(25.3%)
3位:従業員の理解を得ること(22.2%)
4位:業務の合理化や効率化のためのIT・機器・システムの導入(21.5%)
5位:人材育成(21.1%)
取り組んでいる内容としては「長時間労働の是正」が最も高く8割近くにのぼるなど、働き方について、多くの企業が労働時間の長期化を課題として捉えている様子がうかがえた。また、効果のある内容としては、労務・人事面では「長時間労働の是正」(30.3%)、業務改善では「業務の合理化や効率化のためのIT・機器・システムの導入」(21.5%)、経営・事業では「従業員の理解を得ること」(22.2%)が、それぞれ最も高かった。
最後に、冒頭の質問で「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」または「取り組む予定はない」と回答した企業に対し、「(働き方改革に取り組まない)理由」を複数回答で尋ねたところ、結果は以下の通り。(上位5位まで記載)
1位:必要性を感じない(37.6%)
2位:効果を期待できない(34.1%)
3位:人手不足や業務多忙のため、手が回らない(29.4%)
4位:推進できる人材がいない(20.2%)
5位:ノウハウがない(17.9%)
取り組んでいない理由としては、「必要性を感じない」が37.6%で最多となるなど、働き方改革に取り組んでいない企業はではその必要性や効果に疑問を感じていることが明らかとなった。また、「人手不足や業務多忙のため、手が回らない」も3割近くにのぼるなど、人手不足が企業活動の中で大きな課題と捉えられる中で進められている働き方改革が、人手不足そのものが足かせとなって実施できていない様子がうかがえる。
――2018年6月、参院本議会で「働き方改革関連法案」が可決・成立、2019年4月1日に施行されることとなった。大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から対象となっており、人手不足が続く中、施行に向けた対応が必要となっている。だが、働き方改革への取り組みは、人材の採用や定着、育成のみならず、投資やイノベーションなどによる生産性向上にもつながることが期待できる。義務からでなく、企業の成長につなげるべく包括的に取り組めるかが成功の鍵を握るだろう。