厚生労働省委託事業の「イクメンプロジェクト」は、2024年7月31日に「若年層における育児休業等取得に対する意識調査」の結果(速報値)を公表した。本調査は、全国の18歳~25歳の高校生・大学生などの学生を対象に行われ、合計2,026件の回答を得ている。調査結果から、Z世代の学生が将来のワークライフバランスをどう考えているのかが明らかとなった。
Z世代学生の約7割が企業選びで「育休取得実績」を重視。「仕事とプライベートの両立」が“当たり前の価値観”に

若年層の約8割が「仕事とプライベートの両立」を意識

本調査ではまず、「新卒で入社をする会社を選ぶ際に、将来の仕事(キャリア)とプライベートの両立を意識しているか」と質問している。すると、77.9%が「両立を意識している」と答えた(「意識している」と「やや意識している」の合計)。この値を男女別に比べると、男性は76.8%、女性は79.1%となり、女性の方が「仕事とプライベートを両立できる働き方をしたい」と考えていることがわかった。
仕事(キャリア)とプライベートの両立について

“働きがいを感じる”働き方は?「仕事や育児に対して熱心に取り組む」と考える人は87%に

次に、「社会に出た後の働き方」として、4項目について「働きがいを感じるか」を尋ねている。その結果、「働きがいを感じる」との回答が最も多かったのは「仕事もプライベートも両立する」で、91.2%となった。次に「定時であがる/休みは取得するけれどもその時間内は密度濃く仕事をする」が87.2%と続き、Z世代の学生は“仕事もプライベートも両方大事にしたい”と考えていることがうかがえた。
社会に出た後の働き方について

87%が「仕事や育児に対して熱心に取り組む」との考え

さらに、「将来の育児に関する想い」についても尋ねると、「仕事も育児も熱心に取り組む」との意向を示したのは全体の87%だった。なお、男女別では、男性が87.9%、女性が85.9%と、「仕事も育児も熱心に取り組む」意向に男女差は見られない結果となった。
仕事(キャリア)と育児の両立について

3人に2人は「育児休業制度」の内容を知っていると回答

続いて、労働者の法的な休業制度一つである「育児休業制度(育休)」の認知度を調べた結果、「育休を知っている」が66.6%、「名称は聞いたことがあるが内容は知らない」が25.8%、「全く知らない」が7.6%となった。男女別に見てみると、「育休を知っている(内容を含む)」と答えたのは男性が61%、女性が72.7%と、女性の方が10ポイント以上高くなっていた。
育児休業制度の認知度

約7割が企業選びのポイントとして「育休取得状況」に注目

最後に、「企業の育休取得状況は企業選びに影響を与えるか」と尋ねると、「影響がある」が21.7%、「やや影響がある」が48%となり、合計69.7%が「影響する」と答えた。この値を男女別に見ると、男性は計63.3%、女性は計76.7%と、女性の方がより重要視していることがうかがえた。
育休状況の企業選びへの影響
2021年6月に育児・介護休業法が改正され、新たに「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設されたことをきっかけに、その後も政府は「育休取得」の推進に向けた段階的な取り組みを進めている。具体的には、2022年4月から出産・妊娠を申し出た従業員に対して、育休制度の周知や利用意向確認をすることを企業に義務付けたほか、同年10月からは育休の分割取得が可能になり、さらに翌2023年4月からは男性育休などの取得率の公表も従業員1001人以上の企業に義務付けた。こうした社会的背景を受け、大企業を中心に、徐々に男性の育休取得率が向上してきている。今回の調査でも、仕事とプライベートを分けずに「働きやすく、働きがいも持てる」という働き方を多くの学生が希望しており、育休取得についても、“当たり前のライフプラン”として考えている傾向がうかがえる。企業側も採用・定着の観点で、自社の人事制度が働き手のニーズにマッチしているのかを改めて確認したい。

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