株式会社ベネッセ i-キャリアは、2024年7月11日に「大学1,2年生向けのキャリア形成に関する企業担当者の意識・実態調査」の結果を発表した。2022年(令和4年)6月に改正された「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方(3省合意)」により、学生のキャリア形成に関わる取り組みが4つに分けられた。本記事では、そのうち「タイプ1:オープンカンパニー」と「タイプ2:キャリア教育」の取り組みの実態に関する調査結果を紹介する。
5割強が「大学1,2年生のキャリア形成支援」に取り組む。“中長期の関係構築”に向けた企業内学生アルバイトも43.6%が実施

7割以上が大学1,2年生との接点づくりの必要性を感じている

Society 5.0 for SDGsに向けて、学生が自らのキャリアを主体的に考える機会を提供する「キャリア形成支援の動き」が産学連携で進んでいる。同社が、企業の人事(採用担当者)を対象に「大学1,2年生との接点づくりの必要性」について尋ねると、「必要性を感じている」と答えたのは計76.1%で、4社中3社となった。
大学1,2年生との接点づくりの必要性について
次に、必要性を感じていると回答した人に「その理由」を質問したところ、最も多かったのは「就活本番前に、大学生の自社認知度を高めたい」の68.4%だった。以降は、2位が「就活本番期前に大学生の自業界認知度を高めたい」(55.7%)、3位が「自社にフィットする人材を早期に見つけたい」(51.9%)となった。半数以上が、採用活動を視野に入れた学生との関係構築を考えていることがわかる。一方で、必要性を感じないという採用担当者の理由には「対応できるリソースが足りない」や「接点を持ち続けることが難しい」、「就活の方向性が見えていない学生が多い」などの意見があったという。
接点づくりの必要性を感じる理由

3割の企業が「オープンカンパニー(大学1,2年生、修士1年生向け)」を実施

次に同社は、「低年次学生向けのキャリア形成支援の取り組みの実施状況」を尋ねた。すると、「タイプ1:オープンカンパニー」については、「実施している」が30.6%、「実施を予定している」が14.5%、「実施を検討している」が12.6%だった。これらを合わせると57.7%となり、半数以上が施策を前向きに進めていた。また、「タイプ2:キャリア教育」については同合計が53.2%(「実施している」が26.7%、「実施を予定している」が14.7%、「実施を検討している」が11.8%)と、こちらも5割を超えた。
大学1,2年生向けのキャリア形成支援に関わる施策実施について
同社は、各施策について「どのようなプログラムを行ったのか」も尋ねている。すると、「タイプ1:オープンカンパニー」では、最も多かったのは「会社説明会」の83%、次点が「職場見学」で70.8%となった。「タイプ2:キャリア教育」のトップ2は「学生の自己分析をサポートするイベントやセミナー」が36.4%、「就活のhow toやTipsを指南するイベントやセミナー」が35.6%となった。
大学1,2年生向けの実施施策内容

大学1,2年生向けの施策は66.3%が「成果が出ている」と評価

さらに、前述の大学1,2年生向けの施策を実施しているという企業を対象にその成果を尋聞くと、「成果あり」が66.3%で、「不明」が21.4%、「成果なし」が12.3%だった。学生との接点づくりに手応えを感じている企業はかなり多いことがうかがえる。
大学1,2年生向けの施策実施の成果について

企業の43.6%が「大学1,2年生向の企業内学生アルバイト(有償型施策)」を実施

最後に、同社は「大学1,2年生向けに、就業体験・機会提供を目的とした学生アルバイトなどの有償型施策を実施(予定含む)しているか」を尋ねた。その結果、「実施している」「実施を予定している」の合計は43.6%と、就業を通じた学生との接点を維持・継続している企業もいることが明らかとなった。
有償型施策(企業内アルバイト)について
今回の調査では、過半数の企業が大学1,2年生向けのキャリア形成支援の取り組み(タイプ1、タイプ2)によって、学生を受け入れる取り組みを実施していることが明らかとなった。Society5.0の創造社会では、主体的に考え、自ら主体的に行動する自律的な人材がこれまで以上に求められる。人材の確保が難しい売り手市場のなかで、企業が大学と連携して、学生のキャリア形成を支援する取り組みを行うことは、中長期的な人材確保の有効な手立てとなりそうだ。

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