株式会社マイナビは2024年6月6日、「2024年夏ボーナスと転職に関する調査」の結果を発表した。同調査は2024年5月1日~7日に実施され、20代~50代の正社員として働く人のうち、同年4月に転職活動を行なった、および今後3ヵ月で転職活動を行う予定の1,342人が対象となっている。調査結果から、賞与が少ないことによる転職経験の有無や、賞与額に対する満足度などが明らかになった。
約50%が“賞与の少なさ”を理由に転職を経験。「夏ボーナスの金額」や「自身への評価」に対する納得感は?

「賞与の少なさ」による転職経験者は49.2%。若年層ほど転職理由になりやすく

転職理由・離職理由はさまざまであるが、「給与」や「ボーナス」はその大きな要因の一つだろう。企業に賃上げが求められ続ける中、夏を目前に今年も働く人々の頭に浮かんでくるのが、“夏のボーナス”だ。支給の有無や金額は企業によって異なるが、転職者・転職検討者における転職理由との関係性や、理想の金額はどのようになっているのだろうか。

初めにマイナビは、「“賞与が少ない”ことを理由に転職をした経験の有無」および「転職理由となった賞与額」について尋ねた。すると、「転職した経験がある」とした人は49.2%(一番大きな転職理由だった:21%、一番ではないが転職理由だった:28.2%の合計)となり、転職理由となった賞与の平均額は「28.3万円」だった。

回答結果を年代別に見ると、20代においては「一番大きな転職理由だった」とした人の割合が35.2%と、全年代で最も高くなり、若年層ほど「賞与が少ない」ことが転職理由になっていることがうかがえる。
「賞与が少ない」ことが理由で転職をした経験
また、前質問で「一番ではないが転職理由だった」とした人に、「一番の転職理由」を尋ねると、最多は「賞与以外の給与が低かった」の17.3%だった。賞与額に限らず、給与面が転職理由となっている人は多いようだ。
「賞与が少ない」が1番ではない人の1番の転職理由

「夏の賞与額」の“理想”と“現実”には40万円強の乖離も

次に同社は、“夏の賞与額”について、「前年」、「今年の予想」、および「理想」をそれぞれ尋ねた。すると、「前年」の夏の賞与額は平均「50.1万円」であったのに対し、「今年の予想」は平均「51.8万円」と、大きな差はなかった。一方、「理想」の夏の賞与額は平均「94.8万円」となり、“実態・予想”と“理想”には40万円強の差があった。
前年・今年の予想・理想の「夏の賞与額」
続いて、「今年の夏ボーナスに賃上げの機運を感じているか」を尋ねると、「感じていない」人が62.2%(そう思わない:34.1%、あまりそう思わない:28.1%の合計)で、6割を超えた。

また、回答結果を役職別に見ると、「機運を感じていない」とした人が特に多かったのは「非役職者」で、70.2%となった。
今回の夏ボーナスに賃上げの機運を感じているか

半数以上が「夏の賞与額」と「自身への評価」に納得していない

同社は続いて、「前年の夏の賞与額、および直近の自身の評価に納得感があるか」を尋ねた。すると、「前年夏の賞与額への納得感」について、最も多かったのは「どちらかといえばそう思う」との回答で、31.2%となった。「そう思う」の15.2%と合わせると、合計で46.4%が前年夏の賞与額に納得感を持っていることがわかった。一方、「あまりそう思わない」(30.8%)と「そう思わない」(22.8%)の合計は53.6%となり、全体では“納得感を持っていない人”が過半数を超える結果となった。

なお、「前年夏の賞与額に納得感がない」とした理由についてのフリーコメントでは、「世間一般の平均額に遠く及ばない」、「全員が一律の金額だから」といった“金額面”の不満のほかや、「賞与額の計算方法の周知がなされていない」といった声も挙がっている。

また、「直近の自身の評価への納得感」については、「あまりそう思わない」が31.7%、「そう思わない」が25.9%だった。合計すると57.6%となり、半数以上が直近の自身の評価に納得していないことがわかった。

こちらも「納得感がない」とした理由をフリーコメントで求めると、「上司との1on1ができていない」、「そもそも評価基準が存在しない」、「勤務期間で賞与が決まる」などといった声が挙がったという。
前年もらった夏の賞与額、直近の自身の評価に納得感があるかどうか

賞与・評価への“納得感”は「仕事の満足度」にも影響か

最後に、同社が「評価に納得できた場合、仕事への満足度はどう変化するか」を尋ねたところ、「満足度が高まる」とした人は55.7%(高まる:22.7%、やや高まる:33%)だった。前質問にて“賞与”と“評価の納得感”に相関関係がみられていることから、賞与と評価のそれぞれに納得できると、仕事への満足感も高まると考えられる。
評価に納得出来たら仕事への満足度はどのように変化するか
本調査では、「夏ボーナスの金額が少ないこと」を理由に退職した経験のある人がおよそ半数に迫り、特に20代の若い世代に多い傾向だった。また「夏の賞与額」の“理想”と“現実”には40万円強の差があり、半数以上が「前年夏の賞与額」と「自身への評価」に納得感を持てていなかった。賃上げの需要が高まる中、特に大きな所得となるボーナスの金額に期待を寄せる会社員は少なくないだろう。夏ボーナスの金額を理由にした離職者を出さないよう、賞与の水準は慎重に定めていきたい。

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