働くうえでの本音として「静かな退職をしている」との声は5割を超える
コロナ禍にテレワークが定着したことや副業の認可が進んだことで、仕事と私生活を切り離すことが以前より難しくなっている。仕事と私生活を統合的に捉える「ワークライフインテグレーション」という考え方が注目されつつある昨今、働く人は仕事に対しどのような思いを抱いているのだろうか。はじめにマイナビは、働くうえでの本音を聞くため、「できることなら働きたくないと感じるか」と尋ねた。すると、「働きたくない」と感じている人は合計56.9%(そう思う:30.2%、ややそう思う:26.7%の計)だった。
また、「静かな退職(※)をしていると感じるか」と尋ねたところ、「静かな退職をしている」との回答は48.2%(そう思う:15.7%、ややそう思う:32.5%の計)となった。
※「静かな退職(Quiet Quitting)」とは、やりがいやキャリアアップは求めずに、決められた仕事を淡々とこなすことを指す。ワークライフバランスを重視する動きが加速化したことにより注目されている働き方である。
「私生活」と「仕事」の充実度が双方に影響を及ぼすと感じる人は7割に
続いて同社は、「仕事と私生活の充実の関係性」を尋ねた。すると、「『私生活の充実』が『仕事の充実』につながっている」が20.4%、「『仕事の充実』が『私生活の充実』につながっている」が12.4%、「相互に影響しあっている」が37.2%となり、合計70%の人が「私生活と仕事の充実に関係性がある」と答えた。仕事と私生活の関係性の具体的なエピソードとして、“関係がある”と感じる人からは、「ライブなど何かプライベートで楽しみにしていることがあると仕事のモチベーションも上がる」(20代男性)など、私生活と仕事のどちらも充実させるために、積極的に行動しているといった声が多く見られたという。
一方、“関係がない”と感じる人からは、「仕事は仕事、プライベートはプライベートとしか今まで考えてこなかった」(50代女性)など、仕事と私生活の線引きをしている声が目立ったとのことだ。
仕事と私生活の両方を追求できていない人は約4割と多数派に
次に、同社が「仕事と私生活、両方の充実を追求できているか」を尋ねたところ、「できていると感じる」は26.6%、「できていないと感じる」は39%となった。仕事と私生活について両方の充実を追求できていないと感じる人が多い結果となった。仕事と私生活がともに充実している人は「職場の柔軟性が高い」傾向
次いで同社は、「現在の職場の柔軟性」について、場所・時間・仕事の裁量権・服装・髪型の5項目に分けて質問した。すると、「『仕事』と『私生活』両方の充実を追求できている人」は、できていない人と比べて「職場の柔軟性」が全項目において20ポイント以上高かった。なかでも、「職場で仕事の裁量権がある」(差分:27.9ポイント)、「職場での服装の柔軟性がある」(差分:26.1ポイント)、「職場に時間の柔軟性がある」(差分:24.8ポイント)の項目で、差が大きかった。
この結果を踏まえて同社は、「『仕事』と『私生活』両方の充実を追求できていると感じる人は、仕事の柔軟性が高く私生活の時間を確保しやすいため、両方の充実を追求できていると感じる人が多いのではないか」との見解を示している。
仕事と私生活が充実している人は、働く場所や時間を柔軟にできる制度がある傾向に
さらに、勤務先で「導入されている従業員向けの制度」を複数回答で聞くと、「仕事」と「私生活」両方の充実を“追求できている”と感じる人と“追求できていない”と感じる人で、もっとも導入割合に差があった制度は「在宅ワーク・リモートワーク制度」(差分:9.4ポイント)だった。以下、「有給取得率向上施策」と「女性向けの産育休制度」(差分:ともに9.1ポイント)が同じ差分で続いた。「仕事」と「私生活」両方の充実を追求できていると感じる人は、在宅ワーク・リモートワーク制度や有給取得、産育休制度が利用できる職場に勤めている傾向にあり、働く場所や時間の柔軟性に影響がある制度において、導入率の差が大きいと明らかになった。