【可視化された課題】アクション有り企業は「個人の成長欲求」、無し企業は「経営や制度」が上位項目に
人的資本経営に注目が集まるなか、従業員の働きがいや職場への満足度を把握することを目的とし、「エンゲージメントサーベイ」を活用する企業も増えている。エンゲージメントサーベイの活用は、企業経営にどのような影響をもたらすのだろうか。はじめにミイダスは、「エンゲージメントサーベイの結果を通して、会社として特にどのような課題が可視化されたか」(上位5つまで回答)を尋ねた。すると、「アクションを起こしている企業の経営者・役員」の回答の1位は「組織への満足度が低い」(32.7%)だった。以下、2位が「個人の成長実感が低い」(31.7%)で、「組織からの承認実感が低い」、「社内コミュニケーションに課題がある」が同率3位(28.8%)で続いた。
一方、「アクションを起こしていない企業の経営者・役員」の回答をみると、1位が「組織への満足度が低い」(35%)で、次いで2位が「評価や報酬に対する納得度が低い」(24%)、3位が「経営陣への満足度が低い」(23%)となった。
いずれも「組織への満足度が低い」が1位となっているが、2位以降の回答では、アクションを起こしている企業は「個人の成長欲求」、アクションを起こしていない企業は「経営や制度」に関する課題があがった。
【実施でわかったこと】アクションを起こしている企業の方が組織の課題を察知か
続いて、同社が「エンゲージメントサーベイを実施したことでわかったこと」を複数回答で尋ねたところ、「アクションを起こしている企業」では、「経営陣への期待感/満足度」(71.2%)が1位だった。以下、2位に「組織への期待感/満足度」(67.3%)、3位に「仕事に対する意欲/満足度」(51.9%)が続いた。一方、「アクションを起こしていない企業」の1位は「組織への期待感/満足度」(39%)で、2位が「経営陣への期待感/満足度」(37%)、3位が「仕事に対する意欲/満足度」(35%)となった。
エンゲージメントサーベイ後にアクションを起こしている企業は起こしていない企業と比べ、サーベイからわかる自社の課題について、より注意深く多くの気づきを得ているとわかった。前設問の結果と比較してみても、アクションを起こしている企業の方が全項目の回答率が高い結果となっており、アクションを起こしている企業はサーベイを通じて多くの気づきを得ていることも明らかとなった。
アクションを起こしている企業の7割超が「社員の生産性向上」を実感
次に同社は、「過去1年間を振り返り、エンゲージメントサーベイの実施後に社員の生産性が上がったと感じるか」を聞いた。すると、「アクションを起こしている企業」では、「生産性の向上を実感している」が7割以上(非常にそう感じる:30.7%、ややそう感じる:46.2%の計)となった。他方で、「アクションを起こしていない企業」では、同回答が約3割(非常にそう感じる:3%、ややそう感じる:26%の計)にとどまった。
アクションを起こしている企業の7割以上が「業績向上」。起こしていない企業に比べ40ポイント高く
さらに、同社が「過去1年間を振り返り、エンゲージメントサーベイの実施後に会社の業績は上がったか」を尋ねたところ、「アクションを起こしている企業」では、「向上した」が75%(向上した:26%、やや向上した:49%の計)と7割を超えた。一方、「アクションを起こしていない企業」をみると、「向上した」との回答は35%(向上した:8%、やや向上した:27%の計)だった。アクションを起こしていない企業に比べてアクションを起こしている企業は40ポイント高い結果となり、アクションの実施は業績向上に対し影響があると示された。
課題に対して起こしたアクションは「企業理念・ビジョンの浸透」が最多
最後に同社は、課題に対してアクションを起こしており、「実施後にわかったこと」の質問で「可視化された問題はない」、「わからない/答えられない」以外を回答した経営者・役員に、「エンゲージメントサーベイを実施後、可視化された課題に対しどのようなアクションを起こしたか」(複数回答)と質問した。その結果、「企業理念やビジョンの浸透を促した」(54.8%)が最も多かった。以下、「従業員同士のコミュニケーションの機会を設けた/増やした」(47.3%)、「研修や人材の育成を強化した」(43%)と続いた。また、自由回答には「根本的な働き方改革」や「成功事例の共有化」といった声があがったという。