調査における分析方法は、以下の通りだ。
「マネジャーに対する360度マネジメントサーベイ結果」と、「そのマネジャーが管理する組織のエンゲージメントスコア」を用い、マネジャーの上司からの評価が部下からの評価に及ぼす影響、部下からの評価がエンゲージメントスコアに及ぼす影響について調査。
【調査② マネジャーに対する上司からの評価と部下からの評価の関係性】
「マネジャーに対する360度マネジメントサーベイ結果」を用い、特定の要素に対する部下からの評価が高い場合における、上司からの評価が部下からの評価に及ぼす影響の変化について調査。
「部下からの評価」を高めるマネジメント、下げるマネジメント
調査結果の1つ目、「マネジャーに対する周囲からの評価とエンゲージメントの関係性」について見ていくと、マネジャーの上司による「役割遂行や率先垂範」、および「部下の成長支援」に関する評価は部下からの評価を高めるのに対し、「自社の戦略や課題の確認」、「業務への要望や改善点の確認」、および「外部情報の提供」に関する評価は、部下からの評価を下げる傾向にあることがわかったという。また、部下による「戦略情報の提供」、「進捗状況の確認」、および「動機付け」に関する評価は、エンゲージメントスコアを向上させる傾向にあったようだ。
部下評価に及ぼす“負の影響”を緩和できるマネジメント策とは
続いて同社が示した調査結果の2つ目、「マネジャーに対する上司からの評価と部下からの評価の関係性」では、部下による「戦略情報の提供」、「進捗状況の確認」、および「動機付け」に関する評価が高いとき、マネジャーの上司による「自社の戦略や課題の確認」、「業務への要望や改善点の確認」、および「外部情報の提供」への評価が、部下評価に及ぼす“負の影響”を緩和、または良化させる傾向にあることが示唆されている。「エンゲージメント低下」を抑制するために考えるべき“マネジャーの役割”
上述した調査結果をまとめると、下記の通りだ。●部下からの「戦略情報の提供」、「進捗状況の確認」、「動機付け」への評価は、エンゲージメントスコアを向上させる傾向にある。
●部下からの「戦略情報の提供」、「進捗状況の確認」、「動機付け」に対する評価が高い場合、マネジャーの上司からの「自社の戦略や課題の確認」、「業務への要望や改善点の確認」、「外部情報の提供」への評価が部下評価に及ぼす負の影響を緩和、もしくは正に転じさせる傾向にある。
以上の調査結果に対し、リンクアンドモチベーションは、「マネジャーには、組織における上下/左右の情報の結節点としての機能が求められるものの、過剰に上司の方針や意図を確認したり、上司に状況を報告したりする行動は、結果として部下からの評価を低下させるリスクがあり、得た情報をもとに自身で考えて行動し、部下の成長を支援するといった行動が重要である」との考察をまとめた。またその上で、「部下の状況を把握しながら部下に情報を伝達したり、部下への動機づけを十分に行ったりしている場合には、上司への方針確認や状況伝達が良い方向に働く可能性があり、マネジャーが上司ばかりを見てマネジメントを行うと、部下からの評価の低下や、従業員エンゲージメントの低下につながる可能性がある」との見解も示している。