【志望業界】約半数が「メーカー」と回答。多くの25卒生は2023年11月時点で既に選択か
就活生の業界選び・企業選びの「軸」は、世相やトレンドの影響を受けながら、日々変化していると考えらえる。企業側は、25卒生が何を基準に業界や企業を選んでいるのか、最新の状況を知っておくべきだろう。はじめにインターツアーは、「就職活動で候補にしている業界」を複数回答で尋ねた。すると、「メーカー」が49%で最も多く、半数近くの学生が選択肢としていた。以下、「IT・ソフトウェア・情報処理」(29.4%)、「広告・出版・マスコミ」(21.5%)、「サービス」(20.1%)、「商社(総合)」(17.4%)、「人材」(17.1%)と続いた。
一方、以前は人気が高かった金融、不動産といった業界は、比較的人気が低い傾向となった。また、人手不足が伝えられる「建設」や「介護」といった業界は、回答数が少なかった。そのほか、2023年11月の時点で志望業界を「まだ決めていない、わからない」とした学生は5.4%と、多くの25卒生は既にある程度業界選びを進めていることがわかった。
この結果を踏まえて同社は、「近年の傾向として、志望業界にメーカーを選ぶ学生が多く、IT、広告、サービス、商社なども志望者が増えている。特に当調査は文系大学生の比率が高いため、その傾向が強く出ていると考えられる」との見解を示している。
【業界選びの軸】「やりがい」が「働きやすさ」を上回り“キャリア重視”の傾向
続いて同社が、「業界選びで重視していること(業界選択の軸)」を複数選択で聞いたところ、「やりがいを感じる」が58%で最多だった。以下、「働きやすい」(44.5%)、「自分の能力を活かせる」(40%)、「人に魅力を感じる」(32.8%)が続いた。回答の傾向としては、「やりがい」、「能力を活かせる」といった“仕事満足度”や“個人の成長”に関わる項目の回答が多く、「社会貢献」、「社会への影響」といった“社会的な業界の意義や役割”については比較的少なかった。これを踏まえて同社は、「近年、労働環境は厳しくないが、やりがいや成長が感じられない『ゆるブラック企業』が避けられる傾向について指摘されており、個人のキャリア形成が重視されている。また、『働きやすさ』を強く意識しており、いわゆる『ブラック企業』を避けたい意図があるのではないか」と推察している。
【志望企業の規模・歴史】「大企業」や「老舗企業」寄りの志向が強い結果に
次いで同社が「志望企業の企業規模の条件」を尋ねたところ、「1,000人以上」(52.4%)が最も多く半数を超え、次いで「501~1,000人」(38.1%)となった。他方で、中小企業(300人以下)を選択肢としている学生も少なくはなく、「まだ決めていない、わからない」との回答も26.9%あり、4人に1人は企業規模について未定だった。また、「志望企業の歴史」について尋ねたところ、「老舗(歴史が古い企業)」を希望する割合は1割弱で、「やや老舗」は3割を超えたという。「ベンチャー(歴史が浅い企業)」や「ややベンチャー」は1割に満たず、最も回答が多かったのは「どちらでもない」で半数に迫ったとのことだ。
【企業選びの条件】ポイントは「社風」や「社員」の魅力。「個人のキャリア意識」も色濃く
さらに同社は、「企業選びで重視したいこと」を複数選択で尋ねた。その結果、「社風に惹かれる」(49.8%)が最も多かった。以下、「人に魅力を感じる」(41.4%)、「自分が成長できる」(38.1%)、「自分の能力を活かせる」(36.2%)と続いた。企業の魅力をストレートに感じさせる「社風」や「人(社員)」が重視されているとわかった。同社は、「調査時点では多くの25卒生が夏季や秋季のインターンシップに参加しており、企業との接触の中でこうした「企業の雰囲気」を読み取っていると考えられる。『成長』や『能力』といった個人のスキルや経験に関わる項目も回答が多く、業界選びと同様に企業選びにおいても、キャリア形成について重視しているとうかがえる。」とコメントしている。
【業界・企業選びの課題】「絞り込めない」、「自分とのマッチ度」が上位回答に
最後に同社は、「業界選び・企業選びで感じたこと、悩んでいることなど」を自由記述で聞いた。すると、「業界・企業を絞り込めない」、「自分と企業や職種がマッチするのかわからない」、「業界や企業を知るのに知識や情報が不足している」との回答が上位を占めた。業界や企業を選ぶ際に必要な情報の収集方法と、情報の理解・解釈に悩む人が多いことから、業界・企業研究に苦戦している様子がうかがえる。