有給付与が「20日以上」の管理部門・士業は5割超
厚生労働省の「就労条件総合調査」によると、2021年の有給取得率は58.3%だったという。政府はこの状況を変化させるべく、「2025年までに有給取得率70%」との目標を掲げている。また、同省が毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」と定めていることから、10月に社員の有給取得を促す企業もあるだろう。そうした中で、管理部門や士業の有給取得率は、どの程度なのだろうか。はじめにMS-Japanは、「有給の付与日数と消化状況」を尋ねた。すると、付与日数は、「20日以上」が55%で最も多く、以下、「10~14日」が32.5%、「15~19日」が12.5%と続いた。
また、「消化日数」を尋ねたところ、「5~9日」が34.7%で最も多く、「10~14日」が31%と僅差で続いた。以下、「20日以上」が13.7%、「15~19日」が8.9%、「1~4日」が8.5%、「1日も取得していない」が3.3%だった。20日以上の有給消化をしている人は、20日以上“付与”されている人の3割に満たない状況がうかがえた。また全体では、義務化されている「年5日間」の有給取得をできていない人が1割程度いることも明らかとなった。
有給の消化日数は企業規模によって差あり
次に同社は、「有給の消化日数」を企業規模別に比較した。その結果、企業規模が大きくなるほど、「有給取得日数が5日を切る人」は減る傾向が見られた。また、「有給を10日以上取得している人」の割合は、従業員数1,000名以下の企業では5割前後であるのに対し、1,000名以上の企業では6割を超えており、企業規模による違いがあることも明らかとなった。20日以上の有給消化は「経理職」が最多
続いて同社が、「有給消化日数」を職種別で比較すると、「20日以上」の割合が最も高かったのは「経理」(16.2%)だった。また「法務」では、有給取得日数が5日を下回る人は0%だった。有給が取りづらい理由は「業務に支障が出るから」が4割超
次に、同社が「有給の取りづらさ」を尋ねた結果、「業務に支障が出るから」が45.2%と群を抜いて多かった。以下、「突発的な業務が多く有給の計画を立てづらい」が25.3%、「同僚や上司が有給を取得しない」が12.4%と続いた。「休むことで業務に支障が出ること」を懸念している人が多いとわかる結果になった。3人に1人が「有給の取りづらさ」によって転職を検討
続いて同社は、「有給が少ない・取りづらいなどの有給への不満をきっかけに転職を検討した/転職したことはあるか」を尋ねた。すると、「転職活動を行った/転職した」(15.5%)と「転職を検討した」(19.7%)の合計は35.2%と、有給への不満をきっかけに転職の検討、および転職をした人は3割を超えた。7割超が“転職条件”として「有給付与日数」を重視
最後に、同社が「転職時に有給の付与日数を重視するか」を尋ねると、「とても重視する」(20.7%)と「少し重視する」(52.4%)の合計は73.1%だった。7割以上が、転職の際に「有給の取りやすさ」を重視するようだ。また、「転職時の有給希望日数」を尋ねた結果、「11~14日」(30.6%)が最も多かった。以下、「20~24日」(22.1%)、「15~19日」(21%)、「25日以上」(9.6%)が続いた。少なくとも15日以上の付与を希望する人は半数以上、20日以上を希望する人は3割以上いることが明らかとなった。