半数以上の管理職が「部下の育成」に悩む
近年、管理職にはプレイヤーとマネジメントの両者をこなしながら、ビジネス環境や社会情勢の変化に臨機応変な対応をすることが求められている。その役割は複雑化・高度化しており、中でもマネジメントの取り組みはより高度化しているという。では、実際に管理職として働く個人は、どのような意識をもっているのだろうか。はじめにラーニングエージェンシーは、「管理職としてどのような悩みを持っているか」を尋ねた。すると、「部下育成」が54.3%で最も多く、以下、「人事評価・フィードバック」が33.1%、「チーム・部門の運営」が26%と続いた。
なお、同社が以前行った調査において、人事担当者を対象に「管理職の課題」を尋ねたところ、「部下育成」が最も高い割合だったという。人事担当者が抱く管理職の課題のみならず、管理職自身も同様の悩みを抱えていることが明らかとなった。
半数以上が「部下の業務領域や改善点」を把握
次に同社は、管理職の最大の悩みである「部下育成」では、部下へのフィードバックが必要不可欠であるとして、「フィードバックのために、部下の態度・ふるまい・発言などを普段から気に留めるようにしているか」を尋ねた。その結果、「気に留めるようにしている」との回答は9割を超えたとのことだ。そこで、「部下のことをどの程度理解しているか」を尋ねると、「部下の現状の業務領域」(64%)が最も多く、6割を超えた。また、以下は「改善すべき課題や短所」(54.3%)、「部下の言葉・行動における特徴および変化」(50.8%)と続いた。半数以上の管理職が、部下の現場業務における行動面や改善すべき課題点を把握していることがわかった。
一方、「部下のキャリア志向」(16.9%)、「求める人材像に近づくために任せるべき業務領域」(18.6%)、「業務に影響のある部下のプライベートな状況」(19.4%)の項目はいずれも2割未満となった。この結果から、部下の将来のことやプライベートの状況までは踏み込んでいない実態も明らかとなった。
部下の課題は「部下の業務の進め方」など行動面を見たときに実感
続いて同社は、「部下の課題を感じる場面」を尋ねた。すると、「部下の業務の進め方など行動面を見たとき」(65.9%)が最も多く、以下、「部下の発言を確認したとき」(43.4%)、「部下の制作物、成果物を確認したとき」(39.9%)と続いた。管理職が部下の課題を感じる場面は、業務の進め方や発言など、部下の行動面を見たときであることがわかった。フィードバックでは「部下の成長」を願う管理職が7割以上に
次に同社は、「部下にフィードバックをする際、どのような気持ちで望むか」を尋ねた。その結果、「部下に成長してほしいと願う気持ち」が70.9%で最も多く、以下、「部下の思考や行動に関心を持つ気持ち」が44.4%、「部下と思考や行動の基準をすり合わせたいと思う気持ち」が40.7%と続いた。約6割がフィードバックをためらった経験あり。「部下の反応」や「適切な伝え方」を懸念
続いて同社は、「部下へのフィードバックを、ためらったことがあるか」と尋ねた。すると、「ためらったことがある」との回答は6割に迫ったという。そこで、「部下へのフィードバックをためらったことがある」とした人に、「その理由」を尋ねた結果、「部下の反応に対して不安があるから」(39.9%)、「適切な伝え方がわからなかったから」(37%)が多くを占めた。また、以下には「自分が正しいかに自信がなかったから」(29%)、「もう少し様子を見てからでもよいかと思ったから」(28.3%)が続いた。多くの管理職が、自身のフィードバックスキルについて「自信がない」と感じている傾向が見受けられた。