デロイトトーマツグループは2023年4月13日、KindAgent株式会社の支援のもと、障がいのある学生や既卒者向けのデジタル人材育成および就労支援に向け、「Diverse Abilitiesインターシッププログラム」を開発したことを発表した。また、同プログラムへの参加者について、同年4月20日まで募集している。同社は、障がいの有無にかかわらず中長期的視点に基づいた人材育成を重視し、本プログラムを展開していくという。
デロイトトーマツグループ、「障がい者雇用」の課題解決に向けたインターンプログラムを開発。障がいのある学生と既卒者が対象

グループ全体での知見を活かし、障がい者雇用の課題解決に向けプログラムを展開

デロイトトーマツグループは、2021年4月に障がい者の活躍推進に取り組む「The Valuable 500」の主旨に賛同・加盟し、これまでも障がいのある従業員の活躍推進に取り組んできた。これにより、2023年4月現在、同グループには障がい者が280名超在籍しているという。さらに、2ヵ年経過の定着率はグループ全体で96.7%と、高い水準を保持しているとのことだ。中でも、有限責任監査法人トーマツの特例子会社であるトーマツチャレンジドは、2006年より障がいのある従業員の活躍推進に取り組み、それぞれの強みを生かした活躍を支援してきた実績を持つ。トーマツチャレンジドは同グループ全体の障がい者活躍推進の中核を担い、グループ内の従業員と連携しながらその知見を共有している。加えて、2023年4月よりショートタイムワークを希望する人に向け、段階的なトレーニングを取り入れつつ長期的な育成を目指す「プレ雇用プログラム」も開始したという。

同グループによると、発達障がいのある人は個別の発達特性などから、業務経験を得ることが困難な傾向にある一方で、パターン認識や記憶、数学といった分野で突出した能力が発揮されているという。このことから近年、発達障がいのある人について、デジタル領域での高いポテンシャルが期待されているとのことだ。しかし、身体障がいのある人も含め、障がいの特性から就職先やスキルアップの機会が限られるといった課題があるとの見解も示している。こうした課題の現状認識のもと、同グループとKindAgentは、日本企業の競争力強化に必須とされるDX領域で、障がいの有無を問わない人材育成に取り組むことが重要と考えており、これを踏まえて両者は今回発表したプログラムを展開していく方針だ。

基礎的スキル学習や実習・OJTなど、3つのステージによるプログラムを実施

今回発表した「Diverse Abilitiesインターシッププログラム」では、約5ヵ月にわたり、基礎的なデジタルスキルのインプットから同グループでの実践まで3つのステージが設けられている。同グループが示すプログラムの特徴は、下記の通りだ。

【Diverse Abilitiesインターシッププログラムの特徴】


●3つのステージで段階的なIT学習プログラム
1stステージでは、オンラインIT学習プログラムを受講し、デジタル人材としての基礎を身に付ける。2ndステージでは主に実習を行い、仮想プロジェクトにおいて体験を積む。3rdステージでは、同グループに配属されてOJTでより実践的スキルを身に付けていく。1st・2ndステージでは、ディスカッションを含めたキャリア教育も組み込み、学習したツールの生かし方などを意識しながら学んでいく。さらに、講師がそれぞれの特性や個性を尊重しながら面談による定期的な学習をサポートする。

●医師・心理士によるカウンセリングや、心理教育を含むセルフトレーニング
プログラム期間中、専門医や心理士が定期的にカウンセリングを行う。また、ICTツールを用いて状態を把握し学習をサポートする。さらに、メンタルヘルスケアに関する心理教育もカリキュラムに組み込む。プログラム全体を通じ、自分らしく働くために大切なメンタルケアの素地を養うことに加え、「将来のありたい姿を描く力」の獲得を目指す。

●完全オンラインによるプログラム提供と、デロイトトーマツでの就労機会を提供
本プログラムは完全オンラインによるプログラム提供で、日本全国から参加できる。プログラム受講後は正式選考を経て、同グループにてリモートワークで就業することも可能。

デロイトトーマツグループ、「障がい者雇用」の課題解決に向けたインターンプログラムを開発。障がいのある学生と既卒者が対象
同グループは、本プログラムでの取り組みやその卒業生を通じ、グループ全体で障がいやインクルージョンに関する理解を高めたいとしている。また、障がいを“障害”と捉えず、“個性”や“多様性”と捉える風土を醸成し、ビジネスの成長戦略に活かしていきたい考えだ。

2024年4月より民間企業における障がい者の法定雇用率が段階的に引き上げられる予定だが、現状で未到達の企業や課題を抱える企業も多くあると考えられる。本取り組みは、障がいのある学生や既卒者に対し、支援を含めたインターンシップを行い、自社への採用へとつなげる施策としての先進事例になりそうだ。今後、雇用や人材育成の場面において、多様性を重視した施策の実行を検討中の企業は、こうした事例を参考にしてみてはいかがだろうか。

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