株式会社給与アップ研究所は2023年2月7日、「社員教育の課題に関する実態調査」の結果を発表した。調査は2023年1月31日に行われたもので、従業員数100名以上1,000名未満の中小企業経営者104名から回答を得た。調査結果では、経営者の社員教育の重要性に関する現状認識が明らかとなった。
中小企業経営者の5割強が「学び合う文化の醸成」を意識。育成効果を組織力向上に活かすカギとは?

9割以上が、経営面での「社員教育・研修の重要度の高まり」を実感

人的資本経営やリスキリングの推進など企業経営における人材の重要性が叫ばれ、大手企業を中心に人材開発を強化する動きが出てきている。そのような社会的潮流を受け、中小企業の経営者の現状認識は変化してきているのだろうか。給与アップ研究所はまず、「会社経営上で、社員の教育・研修の重要度は高まっているか」と尋ねた。すると、「非常に高まっている」が58.6%、「やや高まっている」が34.6%となり、「高まってきている」との回答は合計93.2%となった。
中小企業経営者の5割強が「学び合う文化の醸成」を意識。育成効果を組織力向上に活かすカギとは?

中小経営者が「社員教育」を重要視する理由とは?

次に同社は、「社内研修・教育の重要度が高まっている」と回答した人に、「その理由」を尋ねた。すると、上位は「社員の離職を防ぎ、エンゲージメントを向上させるため」が59.8%、「社内で教え合う(学び合う)文化を定着させ、能動的な学習を促進するため」が53.6%、「社会的な賃上げ要請に対応するため、社員の生産性を向上させる必要があるため」が44.3%となった。
中小企業経営者の5割強が「学び合う文化の醸成」を意識。育成効果を組織力向上に活かすカギとは?

約6割が、教育・研修の実施により「業績に成果が出た」と回答

さらに、「自社で取り組んでいる社員教育・研修は、業績に対する成果をどの程度出していると思うか」と質問したところ、「成果を出している」が59.6%で、「やや成果を出している」が16.3%とった。これらを合計すると59.6%となり、約6割の経営者が「現状の取り組みで成果が出ている」と認識していることがわかった。
中小企業経営者の5割強が「学び合う文化の醸成」を意識。育成効果を組織力向上に活かすカギとは?

「外部研修」を取り入れているのは7割。一方で「社内研修」の重要性も理解

次に、同社が「現在の社員教育・研修」の実施状況を全体に質問したところ、7割が「外部研修(外部講師や外部プログラムの受講など)を取り入れている」と答えたという。

一方で、「外部研修を取り入れている」と回答した人に「社員教育・研修を自社内で行うことも重要だと思うか」を尋ねた。すると、「非常に重要」(46.6%)および「やや重要」(49.3%)と回答した人の合計は95.9%となった。おおかたの経営者が、外部研修だけでなく、内製での教育・研修体制も重要視しているようだ。
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社員の能力開発に必要な環境は「社内研修の実施」との回答が最多に

最後に同社は、「社員の能力開発に必要な環境」について、複数選択可の条件で尋ねた。すると、最も多かったのは「社内研修の実施」(72.1%)で7割が回答。以降は、「学び合いが自然発生する仕組み」が51.9%、「ジョブローテーションの実施」が43.3%、「e-ラーニングの導入」が41.3%で続いた。
中小企業経営者の5割強が「学び合う文化の醸成」を意識。育成効果を組織力向上に活かすカギとは?
本調査結果によると、中小企業の経営者の9割が「社員教育が以前より重要になっている」との認識を持つことが明らかとなった。また、ほとんどの経営者が、社員の能力開発には、社外研修だけでなく「社内研修」も重要だと考えていた。個々の社員が身に付けたスキルを定着させ、組織力に変えていくためには「お互いに学び合えるような組織文化の醸成」が欠かせない要素であると言えそうだ。

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