地元ママ人材を活用し建築・建設サポート事業の円滑化と、就労環境整備を両立
沖縄県では、全国と比べ所得水準の低さやひとり親家庭の多さが課題となっているが、近年では特に、新型コロナウイルス感染症の拡大を要因として、ひとり親家庭が経済的に困窮している状況が懸念されているという。他方で、コロナ禍での生活様式の変化により、戸建て住宅需要が増加傾向にあり、沖縄県においても大手ハウスメーカーや建設業者の進出が相次いでいるとのことだ。ファストコムもこうした需要の高まりを受け、2021年4月には、駐車場の手配や現場事務所手配、各種申請など50種類ほどのサービスを展開する「建助」沖縄オフィスを沖縄県浦添市に開設した。しかし同社は、「建助」における業務の遂行にあたっては土地勘や地域性への理解が必須であり、ネットの情報だけに頼った業務遂行が難しいという課題を抱えていたという。こうした中、地域に密着した仕事を進めるため、県内の事情に詳しい“地元ママ”の力を借りることに着目。沖縄県内の母子家庭への支援を目的に、企業と連携したシングルマザー就労支援環境整備事業を進めるリトルワンズと連携し、建築・建設現場での地元ママ人材の活用とシングルマザーに対するキャリア支援事業を開始した。
「建助」では、沖縄県内の母子家庭を優先的に採用し、地元での就労機会と訓練の場を提供する。また、採用後は、生活面・精神面でリトルワンズがサポートを行う予定だ。加えて、就労経験の乏しい若年層のシングルマザーに対し、仕事の経験を積み、基礎的な社会人トレーニングを行い将来的な自立を支援していくという。本事業を通してファストコムは、全国的に慢性的な人材不足に悩む建築・建設業界にとって、女性活躍や建築・建設業の魅力を積極的に発信し、「女性や母親が働きやすい職業」としてのブランディングを進め、建築業界を下支えしていく考えだ。
新型コロナの拡大により、生活に困窮するひとり親世帯への支援が急務とされる中、企業が人材活用とひとり親への支援を両立させる取り組みは、社会的にも大きい意義があると考えられる。本事業のような取り組みが他の業界や企業にも波及していくことを期待したい。