従業員の多くが、キャリア自律に「自己責任」や「自己決定」が必要だと認識
従業員個人が主体的にキャリアを形成していく、「キャリア自律」を求める企業が増えている。では、働く個人は「キャリア自律」をどのように受け止めているのだろうか。調査でははじめに、「『自律的・主体的なキャリア形成』をどのような意味合いで捉えているか」を複数回答で尋ねている。その結果、回答が多かったのは、「『自分のキャリアの責任は自分にある』と考えること」(64.6%)や、「自分の価値観に基づいて、自分でキャリアを選択すること」(61.3%)で、それぞれ6割を超えた。
一方で、回答が少なかったのは、「会社に頼らないで、自分の力でキャリアを切り拓いていくこと」(38%)や、「1つの職業や会社にとらわれずに、臨機応変にキャリアを形成すること」(40.1%)などで、上位の回答からは20ポイント以上の差が見られた。
一方で回答が少なかったのは、上の設問と同様に、「1つの職業や会社にとらわれずに、臨機応変にキャリアを形成すること」(11.9%)や「会社に頼らないで、自分の力でキャリアを切り拓いていくこと」(13.7%)といったものだった。「自身の価値観にあった働き方を選択すること」を重視するビジネスパーソンが多いことがうかがえる。
6割以上が会社からの「キャリア自律への期待」を感じている
続いて同社は、「会社からの、『自律的・主体的キャリア形成』を期待するメッセージの有無」を聞いている。その結果、「会社からの期待あり」と判断できる回答が全体の66.1%となり、そのうち、「強く期待するメッセージが出されている」が10.1%、「ある程度期待するメッセージが出されている」が27.6%、「具体的なメッセージはないが、期待されていると感じる」が28.4%となった。期待が大きいのは「仕事への主体的取り組み」、「成長機会の創出」、「継続学習」など
また、「期待あり」とした回答者に対して同社が聞いた、「『自律的・主体的なキャリア形成』として、会社が求めていること」という質問には、「何事も成長機会と捉えて、目の前の仕事に主体的に取り組むこと」が43.7%、「新しい経験にチャレンジしながら、自ら成長機会を作っていくこと」が41.5%、「キャリア形成のために必要な学習を、自ら継続的に行うこと」が33.3%で、上位となった。「主体的なキャリア形成」を望む一方でストレスを感じる人も多い結果に
さらに、「『自律的・主体的なキャリア形成』に関する考えについて、どの程度そう思うか」を、「自分」、「周囲」、「会社」、「社会」という4側面から尋ねている。「自分」に関連する回答を見ると、「自分自身は、『主体的なキャリア形成』をしたい」が、「とてもそう思う」、「そう思う」、「ややそう思う」を選択した回答者の合計が81.8%と、8割を超えた。一方で、「『自律的・主体的なキャリア形成』を求められることに、ストレスや息苦しさを感じる」の同合計も、64.8%と6割を超えていることから、「主体的なキャリア形成の必要性を感じつつ、会社からの期待に対してはストレスを感じている」ビジネスパーソンが多いことがわかった。
また、「会社」に関連する回答で同意の声が最も多かったのは、「『自律的・主体的なキャリア形成』を支援してくれる会社の方が、働きがいがある」で、同合計が76.2%という結果だった。
キャリア形成に役立つのは「学習支援」と「学びのための柔軟な勤務体系」
最後に、「キャリア形成を積極的に支援する仕組み・制度のうち、勤務先に『導入されている』および『役立っている』もの」について、「学習支援」、「起業・異動」、「マネジメント」、「キャリア支援」、「労働時間や働き方」の側面から尋ねた。その結果、「導入されているもの」、「役立っているもの」の双方が多かったのは「資格取得の金銭的補助」(「導入されている」54.8%、「役立っている」50.3%)や、「必要なとき、必要な知識・スキルを学べる機会や仕組み」(同46.7%、44.8%)となった。一方、導入率が低いが役立っているのは、「学びの時間をとれるような柔軟な勤務体系(フレックス、テレワークなど)」で、同25.8%、57%となった。