女性管理職の平均割合は1割以下と低水準なものの、過去最高に
企業における女性の活躍は、どの程度進んでいるのだろうか。はじめに、「自社の従業員に占める女性の割合」を尋ねると、平均は26.5%で、前年比で0.7ポイント増加した。そのうち「30%以上」と回答した企業は33%で、比較可能な2014年以降で最も高くなったという。また、女性従業員割合が10%に満たない企業(「10%未満」と「0%」の合計)は27.3%で、前年から1ポイント減少した。
さらに、「自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合」は平均8.9%で、過去最高を更新。前年比1.1ポイント増と、これまでで最も大きい伸び幅となった。このうち政府目標の「女性管理職30%」を上回った企業は8.6%で、全体の1割を切るものの、こちらも過去最高となった。
企業規模や業界別での格差が大きく
続いて、女性管理職の平均割合を「規模別」、「業界別」にまとめた。規模別では、「小規模企業」が11.9%で最も高く、規模が小さい企業ほど女性管理職の割合が高い結果だった。業界別で最も多かったのは「小売」の15.5%、次いで「不動産」が15.3%と続き、いずれも前年より約3ポイント増加した。一方、「製造」、「建設」、「運輸・倉庫」の3業界では全体平均の8.9%を下回る結果に。これらの企業からは、「現場でも女性に活躍してもらいたいが、求人しても応募がなかなか無い」(一般土木建築工事、兵庫県)といった、女性採用に苦心しているという声が多くあがった。
また、2022年4月には「女性活躍推進法」の改正法が施行され、女性活躍に関する情報公開の対象が、従業員数「301人以上」の企業から「101人以上」の企業に拡大される予定だ。各区分で女性管理職割合の平均を見ると、従業員数「301人以上」では6.5%(前年比0.3ポイント増)、「101人以上」では5.8%(同0.1ポイント増)と、両区分とも前年度と比べわずかに増加している。新たに情報公開の対象となる「従業員数101人以上」の企業において、今後どのような変化が表れるか注目したい。
2割以上が今後「女性管理職割合増加」を見込み、前年より微増
続いて、「自社における女性管理職・役員割合」について、「5年前と比較した現在の様子」と、「現在と比較した今後の変化予測」を尋ねた。その結果、「5年前との比較」では「増加した」が20.7%となった。他方で「変わらない」が70.4%となり、最も多い結果に。「今後の変化予測」では、「増加する」と見込む企業が22.6%で、前年比0.9ポイント増となり、減少傾向だった前年までの結果から増加に転じたという。また、「変わらない」と予測する企業は58.9%で、こちらは前年度比1.4ポイント減ということだ。
女性役員については、5年前と比べ「増加した」が8.7%、今後「増加する」と考えている企業は7.9%に。現状、今後の予測ともに「変わらない」が7割以上を占めた。
女性登用を進めている企業の割合は、前年の落ち込みから増加に転じる
さらに、「自社での女性登用を進めているか」を尋ねた。すると、進めている企業(「社内人材の登用を進めている」または「社外からの登用を進めている」を合計)は46.9%に。過去最高だった2019年の50%には到達しなかったが、大きく落ち込んだ2020年の42.6%に比べ、4.3ポイント増加する結果となった。このうち「社内人材の登用を進めている」は40.7%で前年比3ポイント増加、「社外からの登用を進めている」は11.5%で同1.3ポイント増加と、それぞれ数値を伸ばしている。他方、38%が女性登用を「進めていない」ことも判明した。
男性の育休取得推進には約半数の企業が前向きな姿勢
2021年6月に「育児・介護休業法」が改正され、男性の育児休業取得促進のための柔軟な枠組みが創設されるなど、「男性の育休」取得に向けた動きが進んでいる。そうしたなか、「自社における男性の育休取得に関する推進状況」を尋ねた。すると「積極的に取得を推進している」企業は9.5%に。また、「利用実績は少ないが、今後取得を推進していく」が21.3%、「取得しやすいように社内規定など(就業規則以外)を整備する」が19.8%で、「今後推進する」とした企業は合わせて41.1%となり、4割以上の企業が男性の育休取得推進を前向きに考えていることがわかった。一方で、「特に何もしない」とした企業は39.5%となった。