次世代事業の創出を通じて、社会課題解決を
世界的な人口増加や経済成長により、エネルギー需要は増加の一途をたどっている。一方で、気候変動は地球規模で取り組むべき喫緊の課題となっているのが現状だ。このような状況で、「環境負荷の低減」と「経済成長」を同時に達成する持続的エネルギーサイクルの必要性が高まっている。住友商事は、2021年5月に発表予定の「次期中期経営計画の重点施策」に、脱炭素・循環型エネルギーシステムの構築による、カーボンニュートラル社会の実現に資する次世代事業の創出を掲げている。この事業実現のため、2021年4月に、従来の部門間を超えた新たな営業組織「EII」を新設する。同組織に、社内の専門的な知財や人材などの経営資源を、戦略的に投下していくという。
具体的には、中長期視点で事業開発が必要な「水素・蓄電池事業」と、実績のある「森林事業」や「バイオマス燃料事業」などの「次世代エネルギー関連事業」を、「EII」に集約させる。また、社内外の多様な知見や人材を活用した多角的アプローチにより「バリューチェーン全体を俯瞰し、事業の拡大を目指す」考えだ。軸となるテーマは以下の3つとなる。
1.カーボンフリーエネルギーの開発・展開
・水素アンモニアの利活用事業など
2.新たな電力・エネルギーサービスの拡大
・大型蓄電池事業やリユース蓄電池事業
・電力・エネルギープラットフォーム事業
・複合エネルギーサービス事業など
3.CO2の吸収・固定・利活用
・森林や海洋による環境価値創造事業
・次世代バイオエネルギー開発など
同社は、「EII」による次世代事業の創出を通じて、昨年2020年6月に定めた「気候変動緩和」や「循環経済の実現」などの重要社会課題の解決を目指したいとしている。これにより、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく考えだ。
地球温暖化による気候変動の影響は、世界規模で顕在化している。日本でも政府が掲げた「2030年までの温室効果ガス削減」、「2050年のカーボンニュートラル、脱炭素の目標」に向け、各企業の取り組みが広がっている。自社で何かを始められるのか、身近なところから検討してみてはいかがだろうか。