「グリーンイノベーション戦略推進会議」によりプロジェクトが決定
昨今、異常気象は年々増加傾向にあり、気候変動への対策は国をあげての喫緊の課題といえる。政府では、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」および「統合イノベーション戦略2019」に基づき、2020年1月21日に「革新的環境イノベーション戦略」を策定。そこで日本は、自国が強みを発揮できるエネルギー・環境分野において、世界全体でのGHG排出削減に貢献できるイノベーション分野を特定した。この戦略の実現を目的に、「グリーンイノベーション戦略推進会議」が設置された。その第1回会議において、脱炭素社会の実現をイノベーションで可能にする企業の取り組みを支援するプロジェクトとして、「ゼロエミ・チャレンジ」の開始決定にいたったという。
企業の取り組みを可視化してESG投資へつなぐ
経産省は経団連やNEDOと連携して、「革新的環境イノベーション戦略」に挑戦する企業や、経団連の「チャレンジ・ゼロ」により脱炭素社会の実現に向けたイノベーションに挑戦する企業を「ゼロエミ・チャレンジ企業」としてリスト化、国内外へ発信していく。このリストは「グリーンイノベーション戦略推進会議」にて、定期的な見直し・更新予定だ。具体的な取り組みとして、各企業によるイノベーションへの取り組みの「マッピング」や、技術開発を段階別に可視化したゼロエミ・チャレンジ企業の「リスト化」を実施し、一般公開する。金融機関・情報活用機関がこれらの情報を活用することで、個別の投融資判断や金融商品の開発などに展開させていきたい考えだ。
経産省は、去る2020年7月7日に、グリーンイノベーション戦略推進会議でプロジェクト概要を公表している。詳細設計は経産省が経団連やNEDOと連携して検討し、進捗情報を経産省HPなどで随時発信する。今後は、TCFDサミット等での発信を想定して、10月頃に第一弾となる「ゼロエミ・チャレンジ企業」リストの発表を予定。来年度以降は、「企業マッピング等の詳細情報を発表」、「COP26等国際的な会議で発信」を予定しているという。
世界全体で環境問題解決に向けたイノベーションが増えつつあるいま、日本企業でもCO2の有効活用やAIの開発など、様々な分野からゼロエミッションに取り組む活動が始まっている。また、経営維持のためには、企業主体で温暖化対策に取り組まざるを得ないという危機感も広まっている。環境に対する企業責任を果たすことが、企業自身の存続を左右することにつながるのではないだろうか。