逆境を成長するチャンスに変えるプロジェクト
新型コロナウイルス感染症拡大により、多くの中小企業が経営危機に直面している。しかし今回のような過去に例を見ない苦難の中でも、模索を繰り返し、業績が向上している企業もある。その背景には、このような状況下でも未来を描き、実現しようと挑戦し続けていることがあるではないだろうか。それらを鑑みて発足した「SCRUM JAPAN2020」は、お互いが持つ強みを活かし合いながら、この逆境を成長するチャンスに変えていこうという試みだ。経営危機を乗り越えるため、普段は関わる機会が少ない業界の経営者などが交流し、さまざまな取り組みを行っている。
事例1.業界を超えた雇用支援
ある飲食・観光事業の企業では、経営が大幅に悪化していた。しかし「社員の解雇は絶対にしない。なんとか乗り越えていく方法を模索する」とプロジェクト内で発信。「企業が社員を守る」という想いに動かされた建築事業経営者が、「我が社で一時的に雇用させてほしい」と申し出て、業界を超えた雇用支援が実現した。
事例2.強みを生かした新商品開発
プロジェクト内で挙がった要望を受け、手ぬぐいの制作・販売会社が「オリジナルマスク」を商品化した。売れ行きは好評で、地元メディアにも取り上げられるなどしており、新たなビジネスの可能性が創出された。
事例3.オンライン勉強会の開催
テレワーク(リモートワーク)により時間的余裕ができたことから、早朝の時間を活用した「オンライン勉強会」が多数開催されている。專門スキルのトレーニングをはじめとした、自己研鑽の機会につながっているという。
企業への深刻な影響をもたらしている現況だからこそ、「変えられない社会情勢」を嘆くのではなく、「今だからこそ私たちにできること」を考え、実行していこうと生まれた本プロジェクト。この姿勢は、ほかの中小企業の経営者にも参考となるだろう。