freee株式会社は2023年9月27日、「年末調整」に関する調査の結果を発表した。調査期間は2023年8月29日~31日で、上場および非上場企業の人事責任者・担当者207名から回答を得ている。本調査から、年末調整業務で負担となっている業務内容や、年末調整の運用方法などが明らかとなった。

【2023年末調整業務の実態】「書類のチェック」が人事・労務担当者の大きな負担に。従業員規模が大きいほどクラウド化が進む

「回収した書類のチェック」、「従業員からの書類回収」が負担に

年に一度、必ず発生する年末調整業務は、従業員だけでなく労務担当者にとっても複雑な作業であると言えるが、企業の年末調整業務の課題や運用実態はどうなのだろうか。

まずfreeeが、「年末調整業務を進める中で負担を感じている業務内容」について複数回答で尋ねると、「回収した書類のチェック」が最も多かった。以下、「従業員からの書類回収」、「従業員からの問い合わせ対応」が上位となった。人事担当者にとって、書類チェックと回収作業が大きな負担となっていることがわかった。
年末調整業務を進める中で負担を感じている業務内容

クラウドシステムの導入は「従業員規模」が大きいほど進む傾向に

続いて同社は、「どのような体制で年末調整業務を行っているか」を聞いた。すると、“1,001名以上”の企業では、「年末調整のクラウドシステムで運用」が66%と6割を超えた。次いで、「紙・エクセルファイルと給与計算システムを併用」が16%だった。

“301~1,000名”の企業では、「クラウドシステム」が51%で、「紙・エクセルファイルと給与計算システム」が33%となった。また“300名以下”の企業では、「紙・エクセルファイルと給与計算システム」が36%、「クラウドシステム」が34%だった。

この結果から、従業員規模が大きい企業ほど、クラウドシステムの導入が進んでいることが明らかとなった。
どのような体制で年末調整業務を行っているか

多くの担当者が苦労するのは「書類の記入ミスや漏れによる確認作業の複雑さ」

最後に、同社が「年末調整業務に関して感じる苦労」を尋ねたところ、「書類の記入ミスや添付漏れによる確認作業の煩雑さ」、「従業員からの問い合わせの多さ」、「残業が増える」が上位に挙がった。

また、「その他」における自由回答では、下記のような声が寄せられたという。

●従業員が年末調整の重要性を理解できておらず、他人事のようにとらえている者も多い
●従業員側の対応で入力が間違っていたり不足書類があったりなど不備が多い
●社内での知見がない中での問い合わせ対応が必要
●期間の定めもあり、業務が集中する

この結果を踏まえて同社は、「従業員が年末調整に必要な情報を入力する際、記入ミスや添付書類の漏れがあればアラートで示すことで、担当者の負担を抑えることができるのではないか」との見解を示している。
年末調整業務に関して感じる苦労
本調査結果から、人事担当者が負担を感じる年末調整業務は「書類のチェック」と「回収作業」だとわかった。また、従業員規模が大きいほどクラウドシステムの導入が進んでいる傾向にあることも明らかとなった。年末調整業務は複雑かつ一定期間に集中する業務であり、人事労務担当者の業務負担は大きいと言える。担当者の負担を軽減し、業務を効率化するために、企業はクラウドシステムの導入などペーパーレス化について検討してみてはいかがだろうか。

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