男性育休取得率・取得日数は5年間でいずれも増加傾向に
2022年に出生数が過去最少を更新し、日本の経済社会の縮小が懸念されている昨今、政府は最重要課題に“異次元の少子化対策”を掲げて取り組んでいる。その対策の一つに男性の育休取得推進があるが、企業の男性育休取得はどのような実態なのだろうか。積水ハウスでは、2019年より企業で働く男性の育休取得実態を探る「男性育休白書」を発行しており、今回で5回目となる。本調査対象者の詳細は以下の通りだ。
全国47都道府県別に、配偶者および小学生以下の子どもと同居する20~50代の男女200名、計9,400名(人口動態に基づきウェイトバック集計)
(2)マネジメント層
従業員10人以上の企業の経営者・役員、部長クラスの男女400名
(3)一般社員層
パート・アルバイトを除く有職者、かつマネジメント層を除く20~50代の男女800名
まず同社は、男性社員(パパ層)とその配偶者(ママ層)を対象として、「男性の育休取得率の変化」を尋ねた。すると、2023年の育休取得率は24.4%と、約4人に1人が取得していることがわかった。2019年の育休取得率9.6%と比較すると、5年間で約2.5倍に伸びていることがわかった。
また、「男性の育休取得日数の変化」を見ると、2023年の平均取得日数は23.4日となり、2019年の2.4日から約10倍、2022年(平均8.7日)と比較しても約3倍だった。
育休を「取得したい男性」と「取得してほしい女性」、共に過去最高値に
続いて同社は、パパ層に対して「自分自身が育休を取得したいか」を聞いた。すると、2019年の60.5%と比較し、2023年は69.9%と約10ポイント上昇した。また、「パートナー男性に育休を取得してほしいか」を聞いたところ、2019年の49.1%から、2023年は64.7%と約15ポイント上昇しており、男女共に男性の育休取得に関する意識が向上していることが明らかとなった。
「職場環境」や「雰囲気」はゆるやかな改善傾向を示す
続いて同社は、パパ・ママ層を対象に「職場の男性育休の取得に対するルールや仕組みがあるか」(2019年度は非聴取)を尋ねた。その結果、「ある」との回答は、2020年の37%に対して2023年は42.1%と、約5ポイント伸びたことがわかった。また、「職場が育休を取得しにくい雰囲気であるか」と尋ねたところ、「ある」との回答は、2019年の27.5%から2023年は22.2%と、5ポイント程度改善していた。男性の育休取得に向けた環境づくりが、ゆるやかながらも前進していることが見て取れる。
男性の育休取得時の“不安”は約7ポイント改善
続いて同社は、「育休取得に『不安』を感じた育休取得男性がいるか」を調査した。すると、2019年は「いる」との回答が77%だったが、2023年は70.2%に減少していた。5年間で約7ポイント改善しており、男性育休に対する不安が軽減されていることがうかがえる結果となった。マネジメント層も男性育休取得を後押しか
また同社は、全国のパパ・ママ層とは別に、企業で働くマネジメント層と一般社員層にも調査を行った。その結果、男性の育休取得に「賛成」とするマネジメント層は、2022年の78.3%から80.3%へ増加していた。また、男性の育休取得を「もっと浸透させるべき」と答えたマネジメント層も、2022年の71.3%から76.8%まで増加した。マネジメント層の意識も、男性社員の育休取得を後押しする方向へとシフトしていることがうかがえる。