“デジタルリスキリングのきっかけ”は製造業・非製造業で有意差が見られる
企業のDXへの取り組みは、IT企業以外においても年々活発化している。DXは企業の価値創造の全プロセスにかかわるため、非IT職も含めた全従業員が、それぞれに必要なデジタルリテラシーを新たに身につけていくことが重要だと言えるが、思うようにデジタルリスキリングが推進できないという声も聞かれる。では実際、非IT職のデジタルリスキリングの取り組み実態はどうなのだろうか。なお、本調査では機械・電機・化学・エネルギー業を「製造業」、金融・保険業を「非製造業」と定義して結果を集計している。
はじめにリクルートマネジメントソリューションズは、「直近2~3年で新しくデジタル・IT知識・スキルを学んだ理由」を調査し、回答率を製造業・非製造業で比較した。その結果、「経営層や上司からの要請があったから」との回答は、製造業が28.9%だったのに対し非製造業が44%で、非製造業の割合が高かった。また、「昇給や昇進に役立つから」との回答も、製造業が6.3%だったのに対し非製造業では19%と、有意な差が見られた。
学習内容は製造業で「データ管理・可視化」、非製造業で「データ・AI活用」がトップに
続いて同社は、「直近2~3年で新しく学んだもの」について尋ね、製造業・非製造業で回答率を比較した。すると、製造業では「Excelなどによるデータ管理、データ可視化」(54.7%)が最多だった。一方、非製造業では「社会の変化とデータ・AI活用の意義」(47%)が最多で、学習内容が異なる結果となった。製造・非製造ともに“業務時間内での学習”がトップ
次に同社は、「新しくデジタル・IT知識・スキルを学ぶのに、どのような機会を活用したか」を聞いた。すると、「仕事として取り組んだ」との回答が製造業(75.8%)・非製造業(68%)ともに最多だった。有意差が見られたのは「勤務先が提供・費用負担する学習プログラム(全社員必修)」で、製造業(9.4%)より非製造業(18%)のほうが多かった。企業の「リスキリング支援」と上司の「DXリーダーシップ」は学習効果に影響あり
続いて同社は、「企業のリスキリング支援」と「上司のDXリーダーシップ」の学習効果への関係を調査した。なお、学習効果は、「新しい知識やスキルを身につけられた」や「今後の仕事に役立てられそうだと思った」など7項目6件法から構成されている。その回答率から、学習効果の高群と低群に分けられている。調査の結果、「企業のリスキリング支援」では、高群が2.74、低群が2.44だった。一方、「上司のDXリーダーシップ」では高群が4.11、低群が3.48と、両者ともに高群と低群で差が見られた。特に「上司のDXリーダーシップ」は、学習効果に強い影響を与えることが示された。