成長・収入アップできない“ゆるブラック企業”に約7割が「働きたくない」。過度な“ゆるさ”でエンゲージメント低下の恐れも

「勤務先は“ゆるブラック企業”だと思う」との回答が7割に迫る

極端な長時間労働や賃金不払残業など、従業員に対して過度な労働を強要するような企業は「ブラック企業」と呼ばれ、コンプライアンスに反することから社会的に問題視されている。その一方で、残業もなければ成長もないとされる“ゆるブラック企業”について、働く人はどのような考えをもっているのだろうか。

はじめにAlbaLinkが、「現在の勤務先はゆるブラック企業だと思うか」を尋ねた。すると、「とても思う」が23.2％、「まあ思う」が44.2％で、合わせて67.4％となった。約7割が、自分の勤務先は“ゆるブラック企業”であると感じていることがわかった。

約7割が“ゆるブラック企業”で「働きたくない」と回答

次に同社は、「“ゆるブラック企業”で働きたいと思うか」を尋ねた。その結果、「全く思わない」が21.9％、「あまり思わない」が46.1％で、合計68％だった。他方で、「まあ思う」は27.3％、「とても思う」は4.7％と、合計32％は“ゆるブラック企業”での勤務を希望していることがわかった。

“ゆるブラック企業”で働きたくない理由は「成長できない」、「収入が増えない」

そこで同社は、「“ゆるブラック企業”で働きたくない」とした回答者に、「その理由」を尋ねた。すると、「成長できない」（134名）が最も多く、僅差で「収入が増えない」（123名）が続き、1位と2位の割合が突出した。以降、「やりがいがない」が38名、「将来が不安」が30名、「頑張っても評価されない」が19名と続いた。

1位の「成長できない」とした人の自由回答からは、「転職せざるを得なくなったとき、経歴のわりにスキルが伴わず、苦労することになりそうだから」や「スキルや知識がアップデートされず、時間だけが過ぎていきそうだから」などの声が聞かれたという。

2位の「収入が増えない」とした人の自由回答には、「楽なのは嬉しいけれど、年が経つと周囲より年収が低くて居心地が悪くなりそうだから」や「仕事が少々キツくても、給料を上げたい」などの声が寄せられたとのことだ。

“ゆるブラック企業”で働きたい理由は「ストレスが少ない」が最多

続いて同社は、「“ゆるブラック企業”で働きたい」とした回答者に、「その理由」を尋ねた。その結果、「ストレスが少ない」（48名）が最も多かった。以下、「ワークライフバランスがとりやすい」（40名）、「収入が安定しているなら満足」（37名）、「ラクだから」（34名）、「昇進・スキルアップに興味がない」（27名）と続いた。

1位の「ストレスが少ない」とした人の自由回答では、「居心地がよく、精神面で楽に働ける」や「育児と両立したいので、あまりストレスのない環境がよい」などの声があがったという。

また、2位の「ワークライフバランスがとりやすい」とした人の自由回答には、「成長できないが、ワークライフバランスのほうが大事だと考えているため」や「家に帰って寝るだけの生活は嫌だ。給料が少なくても仕事はそこそこで家に帰って、趣味に没頭できる方がよいため」などの声が寄せられたとのことだ。

ほかにも、「仕事がゆるくて残業が少ないなら副業しやすい」や「スキル不足や収入の低さは副業でカバーできる」といった声も聞かれたという。このことから、仕事の負担が少なくすることで、プライベートや子育て、介護、副業に時間を充てたいと考える人にとって、“ゆるブラック企業”は働きやすい環境として魅力をもっていることがうかがえる。

職場には「安定した収入」や「働きやすさ」を求める声が多数

最後に同社は、全体を対象に「会社や職場に求めること」を尋ねた。すると、「安定した収入」が（145名）と最も多く、以下は「ワークライフバランスのとりやすさ」（97名）、「風通しのよい雰囲気・人間関係」（93名）と続いた。勤務先には「働きやすさ」を求める人が多いことがうかがえる。

また1位以外にも、5位に「働きに見合った収入」や、8位に「定期的な昇給」、10位に「人並みの収入」があがり、収入に関する希望も多かった。

本調査結果から、“ゆるブラック企業”で「働きたくない」とした人は約7割に迫り、成長や収入アップが望めないことを懸念する声が聞かれた。一方で、「働きたい」とした人は約3割で、ストレス軽減やワークライフバランスを理由としてあげていることがわかった。昨今、ワークライフバランスに配慮した「働きやすさ」が求められる傾向にあるが、それと同時に、従業員が「働きがい」を感じられる環境や制度も検討していきたい。