経済産業省は2023年5月31日、東京証券取引所および独立行政法人情報処理推進機構と共同で選定した「DX銘柄2023」32社、「DX注目企業」19社、「DXプラチナ企業2023-2025」3社を発表した。あわせて、選定された企業の取り組みを紹介するレポートを公開したとのことだ。これにより、同省は選定した企業のさらなる活躍を望むとともに、その取り組みが他企業のDXにおいて参考となることを期待している。
「DX銘柄2023」、「DX注目企業」、「DXプラチナ企業2023-2025」を経産省が発表。各企業の事例・取り組みも公開

「DX認定」事業者の中から「DX銘柄」の選定へ

「DX銘柄」とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績があるとして選定された企業のことだ。経済産業省では、選定により目標となる企業モデルを波及させ、経営者の意識改革を促すとともに、幅広いステークホルダーから評価を受けることによるDXのさらなる促進を図りたいという。

「DX銘柄」に選定された企業は、単に優れた情報システムの導入、データの利活用をするにとどまらず、デジタル技術を前提としたビジネスモデルそのものの変革および経営の変革に果敢にチャレンジし続けている企業であると認められる。なお、選定されるためには、前提としてDX認定制度による「DX認定」の取得が必要だ。

DX認定制度とは、「情報処理の促進に関する法律」に基づき、「デジタルガバナンス・コード」の基本的項目に対応する企業を国が認定する制度のこと。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)を「DX認定制度事務局」として、問い合わせおよび審査を行う「DX調査」を2023年度も行い、認定を実施している。なお、調査項目(評価項目)は以下の通りだ。

【DX調査回答項目】
1.ビジョン・ビジネスモデル
2.戦略
└2-1.組織づくり・人材・企業文化に関する方策
└2-2.ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
3.成果と重要な成果指標
4.ガバナンスシステム
DX認定制度の仕組み

「DX銘柄2023」、「DX注目企業2023」、「DXプラチナ企業2023-2025」選定企業一覧

まず、「DX銘柄2023」では32社が選定された。企業の競争力強化に資するDXに向けた取り組みを強く後押しするため、その中から“デジタル時代を先導する企業”として、「DXグランプリ企業」を2社選定した。グランプリには、株式会社トプコン(精密機器)と、日本郵船株式会社(海運業)が選ばれた。

(1)DXグランプリ企業2023(業種順)
DXグランプリ企業2023
「DX銘柄2023」(グランプリ企業を除く)には、株式会社大林組(建設業)や旭化成株式会社(化学)、AGC株式会社(ガラス・土石製品)などの30社が選定された。これらは、デジタル技術を前提として、ビジネスモデル等を根本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていく「DX」に取り組んでいると認められた企業だ。

(2)DX銘柄2023(業種・証券コード順、DXグランプリ企業を除く)
DX銘柄2023(DXグランプリ企業を除く)
「DX注目企業2023」では、「DX銘柄」に選定されていない企業の中から、特に「企業価値貢献部分」において、注目されるべき取り組みを実施している企業を選定している。今年度は、アサヒグループホールディングス株式会社(食料品)や株式会社資生堂(化学)、オムロン株式会社(電気機器)など19社が選ばれた。

(3)DX注目企業2023(業種・証券コード順)
DX注目企業2023
さらに、同省は今年度から新たに、特に傑出した取り組みを制度開始当初から継続している企業として、「DXプラチナ企業2023-2025」も選定している。選定要件は、「3年連続でDX銘柄に選定されていること」と「過去にDXグランプリに選定されていること」の2つだ。

「DXプラチナ企業2023-2025」には、中外製薬株式会社(医薬品)と株式会社小松製作所(機械)、トラスコ中山株式会社(卸売業)の3社が選定された。なお、本選定は3年間の時限措置とすることから、「2023-2025」としているという。

(4)DXプラチナ企業2023-2025(業種順)
DXプラチナ企業2023-2025

「DX銘柄」等に選定された各社の取り組み・分析レポートも併せて公開

経産省では、「DX銘柄2023」、「DX注目企業2023」および「DXプラチナ企業2023-2025」の発表にあたり、各社の取り組みや「DX調査2023」回答結果の分析をレポートにして、同省ホームページにて公開している。



経産省は、「DX銘柄」に選定された企業のさらなる活躍を願うとともに、優れた取り組みが各企業におけるDXの取り組みの参考となることを期待しているとのことだ。

DX推進を図る企業も多い現在、政府による「DX銘柄」等の選定および公表は、先進的な取り組みの波及につながるだろう。DXの促進を目指す企業では、他社の事例を参考に、DX認定や銘柄選定に向けた取り組みを進めてみてはいかがだろうか。

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