制度の充実化とともに空気感の醸成を重要視。社員全体の働きやすさへ
ナリス化粧品では、社員が自身の困りごとや希望について、上司を通さずに直接人事に申告することができる「自己申告制度」を取り入れるなど、30年以上にわたり複数の制度の結合や更新を行ってきたという。「経済的な支援と会社の空気感の醸成の両方が大切」との同社の考えを基に、社員一人ひとりの声を聞き、制度改定の材料として継続した更新を行っているとのことだ。2012年4月には、仕事と育児の両立支援の取り組みで大きな改定を行っている。3ヵ月以上の育休を取得した社員が復職する際に、就学前の子ども1人に対して月額2万円を支給する「復職支援金」の制度を開始。また、「時短勤務」の期間は法令で3歳までとされているところを、同社では小学校卒業までに延長するなど、それまでにあった制度をさらに進化させ、複数の取り組みを開始したという。
その結果、制度を大きく変更する前の2012年3月末と2023年3月末を比較して、社員の女性比率は38%から57%に、女性管理職比率は19%から38%に、女性管理職のうち“ママ社員比率”は21%から48%にと、大きく伸長したとのことだ。
人的資本経営に関心が高まる中、女性管理職比率などを可視化し公表する企業も増えている。本事例のように“ママ比率”を可視化することで、既存社員のモチベーションアップや社外へのアピールにもつながるだろう。社員の女性活躍やワークライフバランスを推進したい企業では、他社の取り組みを参考にしながら、自社でも新たな施策等を検討してみてはいかがだろうか。