株式会社リクルートは2023年2月2日、転職活動者を対象とした意識調査の結果を発表した。調査期間は2022年12月13日~14日で、転職活動中の個人1,040名より回答を得た。これにより、転職活動者が企業選びをする際の観点や、転職を考えたきっかけなどが明らかとなった。
転職活動者の6割以上が「現在よりも高い年収」を希望。中途人材確保には“転職後のキャリア”や“賃金上昇の見込み”が重要か

転職活動者の現職に対する不満は「収入面」が4割超

働き方の多様化に伴い、「自分に合った働き方」や「自分が求める働き方」を叶えるべく転職活動を行う個人は、実際にどのような観点で活動をしているのだろうか。リクルートはまず、「現在の主たる仕事の満足度」を10項目に分けて尋ねた。すると、「不満」が最も高かったのは「収入面」で、計45.2%(不満:20.8%、どちらかというと不満:24.4%)だった。

また、収入面にも通ずる「社内の評価制度(成果報酬など)」も同合計が43.3%となり、収入面に次いで高かった。
現在の主たる仕事の満足度

目の前の年収アップだけでなく「転職後に賃金が上がる可能性」も重要視

次に同社は、「今回の転職活動での、転職時の年収水準の希望」を尋ねると、「現在よりも高い年収水準を実現したい」との回答は6割にのぼったという。

続けて、「今回の転職活動での、『転職時の年収水準』と『将来の年収水準』について、最も考えに近いもの」を尋ねると、「転職時に現在よりも高い年収水準であり、将来の年収も確実に上げられる企業がよい」に「あてはまる」とした人は69.9%(あてはまる:27.5%、ややあてはまる:42.4%の計)と最も多かった。

また、「転職時に年収が下がっても、入社半年~1年程度で年収が上がる可能性があればよい」の同合計は45.8%となり、同様に「2~3年程度」の中長期では43.7%、「5~10年程度」の長期では39.8%となった。この結果から同社は、「目の前の年収だけではなく、将来にわたってしっかりキャリアを積めて、年収が上がる見込みがあるのかを重視する傾向がある」との見解を示している。
転職時の年収水準と将来の年収水準において、最も考えが近いもの

転職を考えたきっかけは「賃金」よりも「成長環境」などの前向きな回答が多い傾向

次に、「転職を考えるようになったきっかけ」を同社が尋ねると、「いまの会社の将来性に不安があるため」が28.2%と最も多かった。以下、「成長できる環境で働きたいため」が25.4%、「より責任ややりがいのある仕事をしたいため」が22%と続いた。

将来性への不安が高まる中、責任ややりがい、成長環境を求める前向きなきっかけで転職を検討する人も多くいることがわかった。賃金だけでなく、自身のキャリアを見据えた転職活動を行っている人もいると推測できる。
転職を考えるようになったきっかけ

エントリーの際は「給与水準の高さ」と「やりたい仕事」を重視か

最後に同社は、「企業へ応募する際に重視する点」を尋ねた。その結果、「給与水準が高い」が44.6%と最も多く、以降、「やりたいことを仕事にできる」(43.1%)、「プライベートの時間を十分に確保できる」(31.9%)と続いた。給与面への希望は高いものの、同様に「やりたい仕事をできるか」という面も重視していることが見て取れる。同社は、「プライベートの時間を重視するなど、暮らしと仕事の関係を見つめ直す個人は今後も増えるだろう」との見解を示した。
企業へ応募する際に重視する点
調査から、転職活動者は短期の賃金上昇のみならず、中長期のキャリアを見据えて転職先を探していることがわかった。自社の離職率低減や求める中途人材の確保を実現するには、中長期を見据えた「賃金上昇の見込み」と「キャリア形成の機会」を、従業員にどう提供しているかをアピールしていくことがポイントになるだろう。

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