株式会社GNUSは2023年2月1日、大企業におけるDXに関する調査の結果を発表した。調査期間は2022年12月5日~7日で、売上規模100億円以上の企業に勤務し、DX推進業務に半年以上関わっている主任以上の役職者(役員・取締役含む)500名より回答を得た。これにより、自社のDXの成果における満足度や、DXを推進する上で重要となるものが明らかとなった。
DX推進の成果に「十分満足」とした大企業は1割未満に。成功の要因は「専門人材確保」や「体制の構築」か

「DXの取り組みの成果」への満足度は3割に満たず

経済産業省が主導して企業のDX化が推進されている今、大企業での取り組み状況やその満足度はどのようになっているのだろうか。はじめにGNUSは、自社について「DXの成果を測る段階にない」とした113名を除いた回答者に対し、「DXの取り組みの成果として最も近いもの」を尋ねた。その結果、「十分に満足」はわずか6%にとどまり、「やや満足」の21%と合わせても27%と、3割に満たなかった。
DXの取り組みの成果として最も近いもの

成果に満足している層は「具体的なプロダクト・サービスの具体化」を重要視

次に同社は、「DXに取り組む上で、プロダクト・サービスや顧客体験の具体化はどれほど重要だと考えるか」を尋ね、前設問の回答と照らし合わせた。すると、前設問で「十分に満足」とした回答者のうち、58%が「重要」と答えた。

同じく「重要」と答えた割合について、前設問で「やや満足」とした人では28%、「やや不足」は26%、「明らかに不足」は22%と、DXの成果を実感しきれていない層はいずれも3割以下となり、効果を実感できている層との意識差が示唆された。
DXに取り組む上でプロダクト・サービスや顧客体験の具体化の重要性

重要視するのは「ユーザー理解」、「アジャイルの採用」、「体制構築」など

続いて同社は、「DXの取り組みとして経験したことのある業務を行う中で、重視すべきだと感じる点とその重要度」を尋ね、「DXの成果への満足度」の結果とクロス集計した。その結果、DXの成果が「十分に満足」とした企業では、「ユーザー理解のための取り組み」、「アジャイルプロセスの採用」、「必要なスキルを持った人材での体制構築」の回答率が約6割~7割となり、他の層より突出して高かった。

対して、DXの成果を実感しきれていない層では、上記3項目の回答率がいずれも約1割~3割程度であり、DXの成果に満足している層との差が顕著だった。
DXの取り組みを行う中で重視すべきだと感じる点とその重要度

DX推進上、不足しているスキルは「DXビジネス戦略を描くことができる」がトップ

次に同社は、「DXを推進する上で、自社に不足しているスキル・ケイパビリティ」を尋ねた。すると、「DXビジネス戦略を描くことができる」、「DXプロジェクトに必要な体制を設計することができる」、「DXプロジェクトの推進を担うことができる」がそれぞれ4割前後で上位となった。DXの戦略を企画・実行するスキルの不足を課題としている企業が比較的多いと推測できる。
DXを推進する上で自社に不足しているスキル・ケイパビリティ

自社に不足している人材は「DXプロデューサー」や「プロダクトマネージャー」が最多

最後に同社は、「DXを推進する上で、自社に不足している人材」を尋ねると、「DXプロデューサー/プロダクトマネージャー」が最も多かった。以下、「ビジネスデザイナー」、「データサイエンティスト/AIエンジニア」が続いた。このことから、DXやプロダクト開発を推進する人材が不足している傾向にあることが示唆された。
DX推進上、自社に不足している人材
大企業においては、DXの取り組みの成果について十分な満足感を得ている人はごくわずかにとどまる実態が明らかとなった。成果を得るには、「プロダクト・サービスへの具体的な取り組み」や「継続的にユーザーニーズを汲み取る仕組み」が重要といえるだろう。まずは、これらを実現するための体制構築から始めてみてはいかがだろうか。

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