半数以上がインボイス制度に関して十分に理解していない
2023年10月1日から、複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式として「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が開始される。本制度は、インボイスにより売手と買手の税率と税額の認識を一致させることを目的としたもので、今後、企業が仕入れや経費などで請求を受ける際に、制度への対応が必要となる場合がある。開始までおおよそ1年前の時点での認知度はどれくらいなのだろうか。まず、アン・コンサルティングが全員に対して「インボイス制度を知っているか」を尋ねたところ、「内容まで知っており、理解している」が48.7%だった。他方で、「聞いたことはあるが説明できない」が39%、「知らない」が12.3%で、合計51.3%はインボイス制度について十分に理解していないということがわかった。
インボイス制度を知っていても「適格請求書が仕入税額控除に必要」と理解していない人が2割超に
次に、「内容まで知っており理解している」もしくは「聞いたことはあるが説明できない」とした回答者を対象に理解度を探っている。同社が「インボイス制度の準備をしなければ、取引先が『適格請求書』を発行してもらうことができず、仕入税額控除を受けられないことを知っているか」と質問すると、「知っている」が77.2%、「知らない」が22.8%となった。6割が、制度導入に向けて「準備をしている」もしくは「準備予定」と回答
また、全てのフリーランスと経理担当者に「インボイス制度導入に向けて準備をしているか」を尋ねている。その結果、「準備が終わった」が8.7%、「今準備をしている」が27.3%、「これから準備をする予定」が24.7%で、これらの合計は60.7%だった。インボイス制度導入の準備をしている(する予定)の人は6割にのぼることがわかった。他方で、「準備をするか検討中」が8.7%、「準備をする予定はない」が10.3%となった。
制度導入に向けた準備の内容は「適格請求書発行事業者の確認」と「システムの改修」が最多
続いて、「インボイス制度導入に向けて、準備をしている(する予定)」とした経理担当者(125名)のみを対象に、「どのような準備をしているか」を質問した。すると、「適格請求書発行事業者の登録の確認」と「経理・受注システムなどシステムを改修」がともに71.2%で最多だった。以下、「受領するインボイス様式の確認」が55.2%、「インボイスの受領方法の確認」が51.2%、「インボイス制度に関わる社員研修の実施」が31.2%だった。インボイス制度に対し「反対」意見を持つ人が半数に迫る
最後に、同社が全員に対し、「インボイス制度導入についてどのように思うか」を尋ねた。すると、「賛成」が2.7%、「やや賛成」が6.7%で、賛成意見は合計9.4%だった。一方で、「反対」が32%、「やや反対」が15%と、合計47%が反対意見を示した。反対の理由を聞くと、フリーランスからは「手取りが減る可能性がある」、「適格請求書発行事業者の登録をしなかった場合、現在契約中のクライアントとの契約が結べなくなる」との回答があった。経理担当者からは、「手続きが煩雑で費用がかかる」、「他の制度で適正課税は確保できる」といった声があがった。