アデコ株式会社は2022年9月20日、新型コロナウイルス流行下における“働く人のライフビジョン・キャリアビジョン”についての調査結果を発表した。調査期間は2022年8月10日~12日で、正社員として働く30代~50代の会社員1,500名から回答を得た。なお、同社は「ライフビジョン」を“どんな生き方をしたいかについての理想像”、「キャリアビジョン」を“今後の仕事や働くことについての理想像”と定義して調査を実施している。これにより、会社員として働く人々の理想像がコロナ禍でどう変化したのかが明らかとなった。
コロナ禍で「ライフビジョンやキャリアビジョンの変化」を実感した会社員が3割に。新たな分野の“学び直し”を始めた人も

「ライフビジョンがある人/ない人」はほぼ半々に分かれる

コロナ禍で、個々人のライフビジョンやキャリアビジョンは変わったのだろうか。まず、アデコ株式会社が「自身のライフビジョンはあるか」と質問すると、「ある」が16.4%、「どちらかといえばある」が37.3%で、合計53.7%だった。一方、「ない」は19.4%、「どちらかといえばない」は26.9%で、合計46.3%となった。
自身のライフビジョンはあるか

「コロナ禍でライフビジョンが変化した」という人は3割強に

続いて、同社が「ライフビジョンがある」とした回答者に対し、「自身のライフビジョンは、コロナ禍によって変わったか」を質問した。すると、「変わった」が11.2%、「どちらかといえば変わった」が25.6%で、合計36.8%が「変わった」と回答した。
コロナ禍によってライフビジョンが変化したか

ライフビジョンが変わった要因は「ライフスタイルの変化」が最多

また、「コロナ禍でライフビジョンが変わった」とした回答者に対し、「その要因」を聞くと、「ライフスタイルの変化(外出自粛など)」が44.6%で最も多かった。次いで、「将来について考える時間の増加」が41.2%で4割を超えた。同社は、「自宅で過ごす時間が増えたことが、自身の理想の生き方について見つめ直すきっかけになったのではないか」と推測している。
ライフビジョンが変化した要因

「仕事や働くことの理想像」を持っている人は4割未満と少数派

次に、同社は全員に対し、「自身のキャリアビジョンはあるか」を質問した。その結果、「ある」が8.7%、「どちらかといえばある」が29.3%となり、合計38.1%がキャリアビジョンを持っていることがわかった。一方、キャリアビジョンが「ない」は25.7%、「どちらかといえばない」は36.2%で、合計61.9%と過半数を占めた。
自身のキャリアビジョンはあるか

「コロナ禍によってキャリアビジョンが変化した」人は3割以上に

続いて、同社が「自身のキャリアビジョンがある」とした回答者に対し、「自身のキャリアビジョンは、コロナ禍によって変わったか」を尋ねた。すると、「変わった」が8.9%、「どちらかといえば変わった」が24.7%で、合計33.6%だった。3人に1人は、コロナ禍でキャリアビジョンが変化していたようだ。
コロナ禍によってキャリアビジョンが変化したか

キャリアビジョンが変わった要因のトップ2は「働き方の変化」と「職種の将来に対する不安」

また、「コロナ禍でキャリアビジョンが変わった」とした回答者に対し、「その要因」を聞くと、「働き方の変化(リモートワークの導入など)」が36.5%でトップだった。以下、「自身の職種の将来に対する不安」が35.4%、「将来について考える時間の増加」と「ライフスタイルの変化(外出自粛など)」がともに29.2%で続いた。
キャリアビジョンが変化した要因

4人に1人は「資格や新しい分野」について学び始めている

最後に、同社が「コロナ禍でキャリアビジョンが変わった」とした回答者に、「キャリアビジョンが変わったことによって起こした行動」を尋ねた。すると、「資格や新しい分野の勉強を始めた」が25%で最多となり、以下、「何もしていない(計画中を含む)」が22.9%、「新たなスキルの獲得に取り組んだ」が21.9%で続いた。同社は、「新たなキャリアビジョンのもと、これまでとは違った分野での仕事を視野に入れて行動した人も多いのではないか」と推察している。
キャリアビジョンの変化によって起こした行動
新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに「自身が理想とする生き方や働き方」が変わった人も多いようだ。それに伴い、新たな分野のスキル獲得など、「リスキリング」に取り組み始めた人もいることがわかった。キャリア観の変化について、企業側も従業員と話す機会を設け、改めて働き手のニーズを把握していく必要があるだろう。

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