「パワハラの相談窓口設置」は100名以下の企業では半数以下に
2022年4月より、全企業に対して「パワハラ防止法」が適用されたが、企業においてパワハラ対策はどの程度浸透しているのだろうか。はじめに、マイシェルパは「パワハラの相談窓口を設けているか」を質問した。すると、従業員数が25名~100名の企業では「社内に設けている」が47.4%、「社外に設けている」が19.2%、「設けていない」が33.4%だった。一方、従業員数が101名以上の企業では、「社内に設けている」が77.8%、「社外に設けている」が11.3%、「設けていない」が10.9%となった。従業員が101名を超える企業では、約9割がパワハラ相談窓口を設けているのに対して、100名以下の企業では3割以上が未設置であることがわかった。
社内に相談窓口を設置してみての課題は「相談者の情報が社内に漏れる」が最多
続いて、同社は「社内にパワハラ相談窓口を設けている」とした回答者に対し、「社内にパワハラ相談窓口を設置してみて、どのような課題を感じているか」を複数回答で尋ねた。その結果、「相談者の情報が社内に漏れる」が34.6%、「行為者が役職者・年長者・キーマンで、指導が難しい」が30.6%、「担当者の負担が増える」が28.3%、「相談者が不利益になる」が28.1%、「行為者の情報が社内に漏れる」が19.7%だった。また、社内だけでなく社外に相談窓口を設けることについて企業がどのような利点を感じているかを探るべく、全員に対して「社外にパワハラ相談窓口を導入することで、どのようなメリットがあると思うか」を聞いた。すると、「専門のカウンセラーに任せられる」が42.5%、「第三者機関なので相談しやすい」が41.6%、「役職者・年長者・キーマンにも指導してくれる」が33.7%、「担当者の負担が大幅に軽減される」が25.5%、「外部機関なのでプライバシーが遵守される」が22.8%となった。
約4割がパワハラの事実に対して「行為者の始末書提出・口頭注意」を実施
次に、同社が「パワハラの事実が確認された後、どのような行動(行為者への措置や被害者への援助)をとったか」を質問したところ、「行為者の始末書提出、口頭注意など」が38.6%で最も多かった。以下、「行為者の配置転換・異動」が32.3%、「行為者の減給や降格」が24.1%、「被害者のメンタルヘルスケア」が21.1%で続いた。一方で、「まだパワハラの事実が確認された事例がない」は21.5%だった。パワハラの解決には「行為者の自覚」が必要か
続いて、同社は「被害者と行為者の関係改善に向けての援助や措置をしたことで、問題は解決したか」を聞くと、「はい」が79.8%、「いいえ」が20.2%だった。また、「いいえ」とした回答者に対して「解決しなかった理由」を尋ねると、「行為者がパワハラをしている自覚がない」が53.5%で最多だった。以下、「調査の結果、パワハラの事実はないと判定されたが、被害者がパワハラを感じている」が28.9%、「行為者が重要ポストにあるため異動などの措置ができなかった」が21.4%で続いた。
パワハラ相談窓口の課題点とは。被害者にはどのような援助をすべき?
次に、同社が「パワハラの事実が確認されたことがある」とした回答者に「実際にパワハラの相談を受けてみて、どのようなことを困難だと感じたか」を尋ねた。すると、「パワハラに該当するかの判断」が42.2%、「機密の保持」が36%、「相談窓口を利用しやすい環境整備」が29.3%、「行為者の自覚・更生」が27.5%となった。また、全員に対して「パワハラ加害者・被害者のメンタル面へのサポートのために、メンタルヘルスケアの専門家によるカウンセリングが効果的であることを知っているか」を聞くと、「知っていた」が60.1%、「知らなかった」が39.9%だった。