
1割強が不妊治療のために退職を選択。雇用形態を変えた人も
不妊治療をする女性は、現在どのように働き職場の支援を受けているのだろうか。はじめに三重県子ども・福祉部子育て支援課が「現在の就労状況」を質問すると、「就労している」が77.3%、「治療のために辞めた」が14.1%、「していない」が8.6%となった。「治療に専念するため仕事を辞めた」とした人の割合は、前年度調査(9%)と比べて5ポイント上昇。その理由として、「治療のために急な休みを取ることや遅刻・早退することに対して、上司や同僚に後ろめたい気持ちや申し訳なさを感じた」という声が多く聞かれた。中には、上司から心ない言葉をかけられたという人もいるようだ。
また、現在就労中の人からは、「正社員からパートに変えた」や「就労日数を減らした」、「本当はフルタイムで働きたい」といった声も聞かれ、中には希望通りに働けていない人もいることがうかがえる。
このことについて、同課では「不妊治療では、決まった時間に注射を打たなければならないことや、採卵日が指定されることから、急な欠勤や遅刻・早退は避けられない。そういった治療に関する知識や理解が職場に浸透していないことが背景にあるのではないか」との見解を示している。

就労している人のうち約7割は、「不妊治療をしていること」を職場の人へ伝えている
次に、同課が「不妊治療していることを職場の人に話しているか」を聞くと、「話している」が71.7%、「話していない」が19.3%、「その他」が9%だった。フリーコメントには、「上司にだけ話している」や「本当に仲が良い人にだけ話している」、「できる限り他の人には知られたくないので話していない」といった回答があった。
「治療中であることを職場に伝えるか」は職場の理解度が分かれ目に
次に、「勤務中の職場は、不妊治療について理解がある」と回答した人の割合を、「職場に話している」層と「話していない」層で比較した。その結果、「職場に話している」層では「理解がある」が64.9%だったのに対し、「職場に話していない」層では同割合が12.1%となっており、両者には52.8ポイントもの差があった。同課は、「職場に話しやすいかどうかは、不妊治療について理解があると感じられるかに直結していると考えられる」と推察している。
「不妊治療のサポート制度」があるのは3社中1社で、昨年よりも増加
次に、「職場に不妊治療をサポートする制度はあるか」を尋ねると、「ある」が34.4%、「ない」が51.3%となった。サポート制度の導入率は、前年度調査(約25%)から約10ポイント上昇しているようだ。

今後に向けて「社員や管理職の理解促進」を求める声も
最後に、同課が「職場においてどのようなサポートが必要だと思うか」を複数回答で尋ねた結果では、「柔軟な勤務形態」(86.8%)や「休暇制度」(76.5%)に回答が多く集まった。その他、「社員や管理職への情報提供・啓発」(38.9%)という回答もあり、これについては、社員研修などで不妊治療に対する職場の理解を深める取り組みを求める声もあった。