従来の「1ヵ月間の育休」だけでなく、「出産前後にも使える休暇制度」を新たに追加
2022年4月から、改正育児・介護休業法が段階的に施行されている。これに伴い、社内制度や支援体制を整備している企業がある一方で、思うように進まない企業も存在するのが現状だろう。ピジョンでは、「母親だけでなく父親も当たり前に育児をする社会の実現」を目指し、以前より育休制度の設計や運用に取り組んでいる。今回、同社は自社での取り組みを社会と共有することで、育休制度の設計や運用に悩んでいる企業への手助けになると考え、「社員で作り上げる育児制度プロジェクト」を経て改定した同社の育休制度と、実際に育休取得をした経験のある男性社員の声を公開したという。
同社で実施された「社員で作り上げる育児制度プロジェクト」は、改正育児・介護休業法の施行に伴う社内制度の見直しに向け、子どものいる社員へ人事部が声をかけ発足させたもの。子育て中、もしくは過去に育休取得経験がある社員およびその配偶者の声を活かしたことで、実態に即した社内制度へ改定することができたという。
例えば、制度の1つである「ひとつきいっしょ」は、妻の産後に男性が1ヵ月の有給を取得できる制度だ。同制度は、1ヵ月のうち半分は「特別休暇(有給)」を利用し、残りは失効した年休を積み立てた「積立休暇」もしくは、無給の休暇と雇用保険の「育児休業制度給付金」を併せて活用するもの。有給休暇とするのは、社員が育休取得に対して抱える「経済的不安」という課題を解決するためだとしている。2006年の運用開始より試行錯誤を重ねた結果、活用する社員が増加し、現在では「1ヵ月間の男性育休取得率100%」を6年連続で実現しているという。
今回の制度改定では、「ひとつきいっしょ」を軸とした制度の再検討を行い、「出産日翌日~8週まで」を対象とした『はじめていっしょ休暇』や、「出産予定日の前後8週間」を対象とした『配偶者の出産サポート休暇』等が誕生、または改良した。制度改定により、従来と比べより細かな部分にも行き届いた制度設計となり、各社員の家庭状況や育児スタイルにもフィットしやすい制度へと改善されたという。
同社は、今後も取り組みを推進し、「社会全体が育児をしやすい環境」を実現するため、さまざまな形で情報発信と子育てに関わる支援をしていきたい考えだ。
同社の取り組みは、社員の声を反映した制度改正により、男性の育休取得率が向上した1つのモデルケースといえるだろう。他社の取り組みや育休取得に関する社員からの声を参考にしながら、自社の制度改定に活かしていきたい。