リ・カレント株式会社は、2022年3月29日に「2022年人材育成に関する意識調査」の結果を発表した。調査は2021年10月に、東京都で企業内の育成に関わる20代~60代の社員を対象に実施され、計1,022名から回答を得た。これにより、育成担当者および責任者自身が考える「育成の目的」や「仕事観」が明らかとなった。
中長期的な視点で「人材育成」に取り組む社員は少数派。「組織のために必要な人材を育てる」と答えた割合は

5割強が「業務に関する知識等を伝えることが育成の目的」と回答

企業で若手社員の育成に関わる社員は、どのような「育てる意識」を持っているのだろうか。

同社が、「職場における育成で目指しているもの」を問うと、「業務に関する知識・技術・技能を伝えること」が54.6%で最多となった。次点以降は、「部下自身の目指す姿に沿ってキャリアアップを支援すること」が18.8%、「会社・組織のために必要な人を育てること」が15.7%だった。「現状の業務を担えるようになること」に重きが置かれており、その先の「キャリア支援」や「会社・組織」を見据えて育成に取り組んでいるのは2割以下となった。
職場における育成の目的

約5割が「育成支援制度に不満」と答える。原因は育成担当者向け研修の不足か

続いて同社は、「職場での育成に関するサポートや支援制度に満足しているか」を質問した。「満足している」は7.4%、「ほぼ満足している」は44.4%で合計51.8%となった。それに対して、「やや不満がある」は37.6%、「不満がある」は10.6%で合計48.2%となり、結果は大きく二分された。
職場での育成に関するサポートや支援制度に満足しているか
また先述の「育成の支援制度に不満がある」とした回答者に対し、「具体的にどのようなことが不足しているか」を尋ねると、「育成担当者向けの研修の不足」が37.3%で最も多かった。以下、僅差で「新人向けの研修の不足」が36.7%、「主業務との業務量調整が不十分(忙しすぎる)」が36%、「現場での実習制度の不足」が31.7%と続いた。
職場での育成支援制度の具体的な不足部分

育成担当者自身の「仕事観」をヒアリングした結果は?

次に、同社は育成担当者自身に「自分の仕事観(働く目的・譲れないもの・価値観)を持っているか」を質問している。その結果、「明確な形で持っている」は19.2%、「語れるほどではないが持っている」は52.2%となり、合計71.4%となった。
自身の仕事観を持っているか

具体的な仕事観は、「報酬を得るため」がトップに

さらに、「仕事観を持っている」とした回答者に、「具体的な内容」を同社が尋ねると、トップは「報酬を得るため」が58.9%でだった。以下、「自分が成長するため」が46.1%、「社会に貢献するため」が39%で続いた。
育成担当者自身の具体的な仕事観

3割以上が、会社は「業務の対価として報酬をもらう場所である」との考え

最後に同社が、「所属する組織・会社に対してどのような考えを持っているか」を質問した。すると、「業務の対価として報酬をもらう場所である」が35%と最多で、以下、「共通の目的を目指すチームである」が22.6%、「自分が属する『居場所』である」が16.9%と続いた。
自身の組織・会社に対してどのような考えを持っているか
回答者のうち「会社や組織のために必要な人材を育てる」ことを目的に育成に取り組んでいるとしたのは2割未満で、中長期的な観点で育成に関わっている担当者の割合は多くないようだ。「人的資本」という考えが注目を集める中、企業成長の実現には人の育成が欠かせない。回答結果では、「育成担当者向けの研修が不足している」と指摘する声も多いことから、育成担当者の意見をヒアリングすることから始めてみてはいかがだろうか。

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