経済産業省(以下、経産省)は2022年5月9日、2021年度に続き、2022年度も「課題解決型AI人材育成事業」(以下、AI Quest)において作成した、AI人材育成用「AI Questデータ付き教材」について、教育機関・企業等に対する提供を行うと発表した。これにより同省は、実践的なAI実装スキルを持つ人材の育成を支援していきたい考えだ。
経産省、実践的AI人材育成のための「AI Questデータ付き教材」を提供開始。AI実装スキルを持つ人材育成の支援へ

「課題解決型AI人材育成事業」の一環で、実践的に学べる「データ付き教材」を作成

経産省では、AI人材育成における講師不足等の課題を解決するため、参加者同士の学び合いによる拡大生産性のある育成プログラムの確立を目指した「AI Quest」を実施している。その取り組みの一環として、企業のAI活用におけるニーズを調査し、優先的に導入を進めるべき業種・工程(以下、優先領域)を明らかにした上で、優先領域をテーマとした「AI Questデータ付き教材」を作成した。なお、2021年度の教材提供では、18の自治体・教育機関・民間企業等で教材が活用されたという。

同教材を課題として提示し実施した「育成プログラム」は、講師を置かずコミュニティ内で参加者同士が学び合う形で行い、2020年度には732名、2021年度には899名がオンラインで参加している。プログラム参加者からは、「AIに関する知識だけではなく、課題解決プロジェクトを進める上で必要なビジネススキルまで磨くことができた」、「AI活用による課題解決フローを体感することが出来た」といった感想が寄せられたという。

2022年度「AI Questデータ付き教材」では新たに3テーマを追加

「AI Questデータ付き教材」は、プログラミングやAIによるモデル構築にとどまらず、企業のAI実装を疑似経験学習できる内容となっている。2022年度の「AI Quest」においては、新たに以下の3テーマの教材を作成したという。

1.製造業における工数予測

印刷会社の生産部門担当者が手作業で行う、生産計画作成のための工数予測を、AIで代替するための検討を実施

2.製造業における不良個所自動検出

木材製造業者で、製造部門の検査担当者が加工後に行う目視での外観検査の不良判定を、AIで代替するための検討を実施

3.製造業における予知保全

自動車部品製造企業で、工場内の修理担当が行う故障修理業務を、AIによって予知および事前修理するための検討を実施

これらの3テーマを加え、2021年度から提供している教材8テーマを含む合計11テーマの教材を提供するという。さらに、各教材共通で必要となる「AI導入テーマの選定」や「プロジェクトマネジメント」、「システム実装」について学習可能な補助教材も新たに作成している。

経産省は、これらの取り組みを通じ、AI人材育成における講師不足の課題等の解決や、実践的なスキルを持つAI人材の育成を支援したい考えだ。

AI導入・実装の検討にあたっては、講師の不足等により学習機会が少ないことで、専門スキルを保有するAI人材育成に課題を抱えている企業もあると考えられる。経産省の提供する教材や育成プログラム等を上手く活用し、AI導入・実装に必要な人材の育成を目指してみてはいかがだろうか。

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