約3割がパワハラの定義や種類を「把握していない」。パワハラ防止法の適用範囲拡大を「知らなかった」との回答も
近年、社会問題となっている職場のパワーハラスメント(以下、パワハラ)への対策として、2020年6月に大企業を対象とした「パワハラ防止法」が施行された。2022年4月からは中小企業にも範囲が拡大するが、中小企業の経営者や人事担当者はどれくらい認知しているのだろうか。313ははじめに、「パワハラの3つの定義と6つの類型、種類を把握しているか」を尋ねた。その結果、「しっかり把握している」が23.3%、「ある程度把握しているつもり」が47.7%、「あまり詳しくはわからない」が23%、「全くわからない」が6%に。7割はパワハラの内容について「把握している、または把握しているつもり」と回答した一方で、「わからない」との回答も3割に迫った。
また、「2022年4月から中小企業にもパワハラ防止法が適用されることを知っているか」の質問に対しては、「知っていた」が59.5%、「知らなかった」が40.5%という結果に。適用拡大が迫るなか、約4割が中小企業にもパワハラ防止法の範囲が及ぶことを知らないことが判明した。
半数がパワハラ相談窓口を既に設置しているも、約2割は「窓口整備の義務化」を知らない
次に、パワハラの防止措置について調べるため、同社は「パワハラの相談窓口を設けているか」を尋ねている。すると、「社内に設けている」が33.6%、「社外に設けている」が14.4%、「設けていない」が52%に。約半数の企業が、社内あるいは社外に、既に「パワハラ相談窓口」を設けていることがわかった。続いて、パワハラ防止法の指針に明記されている「相談窓口の整備の義務化」の認知度を調べるべく、「社内または社外に相談窓口を設けている」とした回答者に対し、「相談窓口の設置が義務付けられることを知っているか」を聞いた。その結果、「知っている」が77.8%、「知らない」が22.2%という結果に。相談窓口を既に設置している企業でも、約2割が相談窓口整備の義務化を「知らない」という実態が明らかとなった。
8割超がパワハラ相談窓口の課題を感じている。内容は「相談者の情報が社内に漏れる」など
次に同社は、「パワハラの相談窓口を社内または社外に設けている」とした回答者を対象に、「社内に相談窓口を設置しての課題感はあるか」と質問している。その結果、「とても大きな課題感がある」が30.8%、「やや課題感がある」が53%、「課題感はない」が16.2%に。8割以上が、相談窓口を設置するも課題を抱えていることがわかった。また、「課題感がある」とした回答者に、「その内容」を複数回答で尋ねると、「相談者の情報が社内に漏れる」が43.6%でトップに。以下、「相談者が不利益になる」が37.5%、「行為者の情報が社内に漏れる」および「担当者の負担が増える」が共に29.4%、「担当者を決めるのが困難」が27%と続いた。
社外に相談窓口を設置するメリットを感じながらも、約8割は「外部に設置予定なし」
続いて同社は、全回答者に対し「社外に相談窓口を導入することで、どのようなメリットがあると思うか」を尋ねた。すると、「専門のカウンセラーに任せられる」が46.4%、「第三者機関なので相談しやすい」が40.9%、「担当者の負担が大幅に軽減される」が36.2%などと続いた。また、「社外に相談窓口を導入する予定はあるか」を質問したところ、「ある」が21.8%、「今のところはない」が57.4%、「ない」が20.8%という結果に。社外に相談窓口を設けるメリットを感じながらも、約8割が「導入の予定はない」ことがわかった。