半数が直近3年間の人材採用に「不満」、採用基準レベルに変化も
新型コロナウイルスの影響も含め、人材不足がより深刻化していくとみられるこれからの時代においては、既存の従業員への教育体制を充実させてくことがますます重要となる。では、中小企業における従業員への教育制度や課題の実態はどのようになっているのだろうか。はじめに、「直近3年間の採用活動において、満足のいく人材の採用ができたか」を尋ねた。すると、「とても満足のいく人材採用ができた」が18%、「ある程度満足のいく人材採用ができた」が31.1%で、合計49.1%が人材採用に「満足」と回答。一方、「あまり満足のいく人材採用ができなかった」が20.7%、「全く満足のいく人材採用ができなかった」が30.2%で、人材採用に「満足していない」企業が合計50.9%という結果に。半数以上が、直近3年間の採用活動において満足のいく人材を採用できていないことが明らかとなった。
また、同じく直近3年間において「人材を確保するため、採用基準レベルを変えたか」を尋ねた。すると、「変えていない」が61.9%と最多回答に。他方、「かなり甘くした」が9.3%、「やや甘くした」が16.4%で合計25.7%となり、4社に1社が以前より「採用基準レベルを甘くした」ことが判明した。
「採用基準レベルを甘くした理由」についての自由回答からは、「人材に求める希望能力値を下げた」、「人物本位の採用から必要作業量を推し量っての採用へ変更した」、「以前は有資格者のみだったが、無資格者も採用することにした」といった声があがった。これらの内容から、人材確保のために採用基準を甘くしたというケースもうかがえる。
3割以上が教育制度として「社内勉強会」を実施
採用基準を低くした企業では特に、社内教育制度の充実が重要となるだろう。そこで、「現在自社で取り入れている教育制度はどのようなものか」を尋ねた。すると、「社内勉強会」が37.8%とトップに。以下、「集合研修」と「自己啓発」がともに26.1%、「OJT」が21.7%、「オンライン研修」が19.6%などと続いた。コロナ禍によるリモートワーク導入などから、オンラインでの教育制度に注力する企業も増えつつあることがうかがえる。社内勉強会の目的を「達成できていない」企業が3割超
さらに、教育制度として「社内勉強会」を実施している企業に対し、「その目的」を尋ねた。すると、「ビジネススキル(営業力・リーダーシップ・マネジメント力など)の向上」が58.8%で最多回答に。以下、「チーム力・組織力強化」が54.2%、「社内の横の繋がり(リレーションシップ)のため」が42.5%、「企業理念・ビジョンの浸透」が39.9%などと続いた。あわせて、「現状の社内勉強会でそれらの目的や狙いは十分に達成できているか」も尋ねると、「十分に達成できている」が12.7%、「ある程度達成できている」が54.7%で、合計67.4%が「達成できている」と回答した。一方、「あまり達成できていない」が27.7%、「全く達成できていない」が4.9%となり、合計32.6%が「未達成」という結果だった。
その理由として、「教育する側のカリキュラムの不十分さ、また、教育の仕方に問題がある」、「人材が固定化されていて、惰性になっている」、「会社独自の指導なので、外部との温度差や違いを感じることがある」といった声があがった。社内勉強会を実施しているものの、内容の不足などから目的の達成に至っていないケースも一定数あるようだ。