DP作業を障がい者が請け負うサービス体制を構築
社会のデジタル活用が進展する昨今、AIの効果的な活用には、導入前の事前準備としてデータを分析可能な状態に整備する「DP作業」が欠かせない。“データの欠損や誤り”の修正といったDP作業は、導入作業全体の8割を占めるとされ、データは日々追加・更新を繰り返すため継続実施の必要がある。ただ、対応にあたるエンジニア不足により、専念できないという課題も発生している。一方のひなりでは、障がいを持つ従業員と、それを支援するサポートマネージャーがチームを組み、2020年初頭からAIで頻繁に使用されるプログラミング言語のPython(パイソン)を活用したデータ整形に取り組んできた。CTCの、金融分野におけるAIやデータ分析といったノウハウに基づく約1年間の施行期間により、定型的なデータ整形に関しては、エンジニアと同水準の技術力に達しているという。
これらの実績を踏まえ、CTCはDP作業をひなりの従業員が請け負うサービス体制を構築。Python等を使用して、膨大なデータの誤記や表記揺れ等の整形を実施する。これにより、AIを利用した、より精度の高い予測や判断が可能になるという。
CTCは、ひなりと共同でDPサービスを提供することで、AI導入における人材不足といった課題を解消し、社会全体のAIビジネスを推進していきたい考えだ。さらに、障がい者によるDP作業を普及させることで、IT分野における障がい者の職域拡大および在宅就労の支援にもつなげていきたいという。
AIを含むIT分野では、専門知識を持つ人材の不足が課題となっている。その一方で、通勤や就業環境といったことがボトルネックとなり、働きたくても働けない障がい者と、そうした障がい者を雇用できない企業も多い。両者のニーズを結びつけるシステムを構築することで、ビジネス促進や雇用機会の創出につながるかもしれない。