ここでは、第1回「テレワーク導入率の調査」(対象:成人男女500名)、第2回「テレワークを実施している人への調査」(同348名)、第3回「テレワークができていない人への調査」(同100名)と3段階に分けて実施された調査結果をまとめている。
「働き方はコロナ禍以前と変わらない」は約7割。「テレワーク中心」に変わった人はわずか
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出に伴い、政府は「出勤者7割減」を目標にさまざまな取り組みをしている。最初の緊急事態宣言から1年以上が過ぎた2021年6月時点で、企業のテレワーク導入実態はどのようになっていたのだろうか。はじめに、成人男女500名に対して「2020年4月以前と今を比較して、働き方は変わったか」を尋ねた。すると、69.4%が「以前と働き方は変わっていない」と回答。続いて、「現在もテレワーク」が25%、「休みが増えた・働けない」が5.6%となった。「コロナ禍以前と働き方が変わっていない」という人は、全体の約7割を占めた。
「100%テレワークができている」という人は全体の1割強
続いて、テレワークを実施している人に対して「2021年6月現在、週のうちテレワークはどれくらいか」を尋ねた。その結果、「テレワークのみ」との回答は12%にとどまった。また、「8割以上がテレワーク」は27%で、出社率を減らせる程度までテレワークを導入できている企業は少ないことがわかった。また、「テレワークを導入できなかった」と回答した人にその背景を聞くと、「個人情報や機密書類を扱うため、会社から資料などを持ち出せない」、「特殊設備での作業なので自宅ではできない」といった声があがった。場所が固定される業務を扱う企業においては、テレワークが導入できない実態があるようだ。さらに、「会社のペーパーレス化が進んでいない」、「個人用のパソコンがない」など、オンライン化やシステム化などのデジタル整備が間に合っていないことを理由とする人も多かった。経営者や会社の方針で「テレワークをしない」企業も一定数あるようだ。
過半数が「1回目の緊急事態宣言時」にテレワークを導入開始
また、「どのタイミングでテレワークがスタートしたか」尋ねた。すると「1回目の緊急事態宣言」が発出された「2020年の4月ごろ」が58.9%と最多回答に。「コロナ禍以前から導入していた」企業は12.1%にとどまり、多くの企業がコロナ禍以降にテレワークを始めたことがわかった。新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、外出自粛やテレワークが推奨された影響から、一気に導入されたことがうかがえる。テレワークの定着を阻む、現時点の「デメリット」とは?
最後に、現在テレワークをしている人に「今後もテレワークを続けたいか」を尋ねた。すると、「今のままテレワークを続けたい」が57%と最も多かった。続いて、「テレワークが良いが少し出社を増やしたい」が24%、「今よりもテレワークを増やしたい」が9%という結果に。このことから、多くの人がテレワークに肯定的な姿勢であることがうかがえた。また、テレワークのメリット・デメリットについての自由回答では、メリットとして「通勤ストレスがない」(40代・女性)、「出社時よりも、業務の精度・効率ともに向上していると感じる」(20代・男性)との意見が聞かれた。一方、デメリットとしては「相手の状況がわからず、コミュニケーションが取りにくい」(30代・男性)、「会社保管の資料が手元になく、メール等で書類を添付してもらう必要があるため効率が悪い」(30代・女性)という意見があがった。