日本におけるクラウド・コンピューティングの利用状況は
生産性向上を目指し、世界中の企業でクラウド・コンピューティングの活用が進んでいる。では、日本企業における現在の利用実態はどうなっているのだろうか。はじめに、「企業で導入しているクラウド・コンピューティング」を種類別に集計した。調査年別に見ると、2021年の調査では「SaaS(Software as a Service)」が前年から8ポイント増の39%に。この結果の背景には、新型コロナウイルス感染症の影響による「Web会議サービス」等の利用拡大があると推測される。続いて、「PaaS(Platform as a Service)」が24%、「IaaS(Infrastructure as a Service)」が22%などとなり、利用平均は昨年より4ポイント増の22%となった。
過去の調査では「外部クラウドへの投資意向」と「実際のクラウドの利用状況」の相関性が低い状況だったが、今回の調査結果では、両者は同様の傾向を示していた。ガートナーのレポートによると、この変化は過去10年の中でも大きく、クラウド・コンピューティングが“「様子見・試行導入フェーズ」から「普及・拡大フェーズに入った」と捉えることができる”としている。
約7割がマネジメント層のクラウドに対する理解度に課題を感じている
また、「企業や組織がクラウドのスキルを身に付けるためにどの程度投資しているか」と尋ねた。その結果、「クラウドのスキルを重要と認識しており、積極的に投資している」が、前年度調査から9ポイント増の34%となった。しかし、「クラウドに対する上司の理解度」を尋ねたところ、「理解しておらず、説明するのに時間がかかる、方向性が見出せないなどで困っている」が38.6%、「理解しているとは言えないが、任せてもらっているので困ることはない」が31.8%に。結果として、約7割の企業では、マネジメント層の理解度に課題を抱えている実態が浮き彫りとなった。