約半数が「ハラスメントを感じている」。特に20~30代のパワハラ被害が顕著
去る2020年6月に、大企業を対象として改正労働施策総合推進法(以下、パワハラ防止法)が施行された。施行から1年を迎えるいま、職場のハラスメントはどのような状況なのだろうか。はじめに「過去1年間で、職場におけるハラスメントを感じたか」と尋ねると、47%が「感じている」と回答。その中で「実際にハラスメントの被害を受けた」が32%、「当事者ではないが社内でハラスメントがある」が15%だった。
属性別に見ると、「雇用形態」では正社員が83%と大多数に。「年代」では20代が28%、30代が31%と全体の約6割、「勤続年数」では勤続3年以内が58%となった。このことから、勤続3年以内の若い年代の正社員が、特に多くハラスメント被害を受けていることがうかがえる。
コロナ禍の影響による「リモハラ」、「コロハラ」も存在。精神的な攻撃や嫌がらせが最多
続いて、「被害を受けたハラスメントの種類」について尋ねた。その結果、「パワハラ」が79.7%と最多回答になり、次いで「モラハラ」が44.2%と2つが特に目立つ結果となった。少数回答の中にはコロナ禍による影響がうかがえる「リモートハラスメント(リモハラ)」や「コロナハラスメント(コロハラ)」もあり、社会情勢を反映したハラスメントが存在していることが明らかとなった。3割以上がハラスメント被害に「何もしなかった」。原因は社内の蔓延化か
続いて、「ハラスメントに対してどのような行動をしたか」尋ねた。すると「何もしなかった」が34.1%と最多に。次いで「退職した(転職を決意)」が28.3%となり、「抗議した」など具体的な行動に出ているという回答は少数派だった。「何もしなかった(できなかった)理由」については、「相談できるような環境がない」が47.8%、「職務上の不利益に繋がりそう」が43.5%、「自分が我慢すれば良いと思った」が31.9%と続いた。さらに、「被害を受けているのが自分だけではないから」が11.6%と、社内でハラスメントが蔓延化している実態がうかがえる回答もあった。
企業での「ハラスメントに関する防止対策」はいまだ不十分
最後に、「社内のハラスメント防止対策」について尋ねた。その結果、「十分な対策をしている」はわずか5%にとどまった。さらに「対策はしているが不十分」が51%、「対策はしていない」が41%で、約9割の企業では、社内のハラスメント対策が不十分という実態が明らかとなった。また、「具体的なハラスメント防止対策」を尋ねると、「相談窓口を設けている」が54.3%と最多に。その他「ハラスメントガイドラインの制定」が35.8%、「会社の方針の周知と啓発」が30.6%、「定期的な個人面談や研修を設けている」が22.5%などとなった。