「働き方デザイン」の背景と具体的な取り組みとは
オンワードでは、従来より「長時間残業の慢性化」や、「チーム内のメンバー一人ひとりが活躍しづらい」といったことを課題としていた。これに対し、閉館時間を設けるなどの物理的制限による対策等を講じたものの、根本的な業務改善には至らなかったという。そこで、「業務効率化」と「ワークライフバランスの実現」による生産性向上、および効率化により得た時間を「新たな発想を形にするチャンス創り」や「イノベーションの創出」につなげていきたいとの思いから、「働き方デザイン」の導入を決めた。
同プロジェクトは、社員の自律的な取り組みにより、働き方を変化させていくことに重きを置いている。週に一度、業務のチーム単位で「よりよい働き方のために何をすべきか」を考える会議を中心として、以下のような取り組みを行っているという。
1.業務DX
・オンラインで各種申請ができるよう電子申請システムを導入・オンラインツール上での朝礼やスケジュールの共有、メールなどでのコミュニケーションによる業務の「見える化」を実施
・社内SNSの活用により、「誰がどんなことを発言してもよい」という心理的安全性を、会社全体で、かつオンライン上で醸成 など
2.新制度導入や新たな取り組み
・10日間の連休取得を推進する新制度「マイゴールデンウィーク制度」を2020年3月よりスタート・男性社員を対象に、配偶者の出産日や退院日、子の1歳の誕生日に休暇を推奨する「育児奨励休暇」を2014年より導入
・男性育休取得促進のための取り組みとして、「育児休業取得等の通知」や、「育児休業取得前および復職前の面談」の実施 など
3.ボトムアップ型の新マネジメント推進
・立場に関係なく意見を出せる環境を作ることによる、社員の自発的な取り組みの促進・現場チームが携わり、2020年9月に販売職の評価制度を改定。オンライン経由の、売上に対する評価制度や相談しやすい環境づくりなど、コミュニケーションについての項目を追加
「残業時間が6割以上減少」、「休暇取得率が増加」などの実績が
前述の各取り組みにおいて、以下のような実績が得られた。1.業務DX
・DX活用により、全社の業績改善とEコマース売上の拡大に寄与・電子申請の導入や、社員へのノートPC・スマートフォン等の配布などデジタル環境を整備したことで、「承認のスピードアップ」や「全国各エリアの情報データのタイムリーな共有」が可能に
・業務効率化により、2年間で残業時間65%減を達成
2.新制度導入や新たな取り組み
・休日取得が前々年実績から平均して5日増(うち管理職は18日増)。約4割の社員が「マイゴールデンウィーク制度」を利用していることが寄与・男性育休取得率が「国の平均値7.48%」、「企業目標値13%」を上回る20%に増加。2年前の7.7%からプラス12.3%となり、国の平均値の2.5倍超に
3.ボトムアップ型の新マネジメント推進
・意見の出しやすい雰囲気づくりにより、現場からの提案や実行が増加・新ブランド立ち上げなど、社員の自発的な取り組みの創出
・新たな販売職評価制度を施行