時給換算した場合、「不公平感あり」は約7割
「同一労働同一賃金」は、性別や雇用形態などを問わず、同一の労働であれば同じ労働時間に対して同一の賃金を支払う制度で、2020年4月より施行された。仕事と家庭を両立する女性たちは、同法の改正による変化をどう感じているのだろうか。はじめに、「時間あたりの賃金(時間給)に換算して考えた場合、過去もしくは現在の仕事について不公平だと感じたことはあるか」を尋ねた。すると、「ある」が69.3%と、不公平感を抱いた経験のある女性は7割に迫った。
「ある」との回答した人の自由回答を見ると、「非正規労働者を救う制度のはずなのに、勤務先は昇給させないよう新たな仕事を教えないという間違った方向に解釈をしている」、「女性というだけで結婚や出産などが前提にあり、働けないと決めつけた賃金・昇進の差がある」といった声があがった。また、「ない」とした回答者からは、同法に反対する意見もあり、「主婦は年末年始などの長期休暇は出にくいから、正社員と同じ扱いをされるのは困る」、「正社員とパートで待遇差がなければ、正社員として働いている理由がわからなくなる」などの声が聞かれた。
改正法施行後の待遇は「何も変わっていない」が半数以上
次に、「同法の施行により、変化があったか」を尋ねた。その結果、「何も変わっていない」が53.2%と最も多くを占めた。次に、「よくわからない」が31.5%と続き、合わせると8割以上が特に大きな変化を感じていないことがわかった。他方で、「賃金や福利厚生などの不合理な待遇差が縮まった」が6.7%、「賃金や福利厚生などの不合理な待遇差が広がった」が5.2%と、待遇差に変化を感じている女性がいることも明らかとなった。
不公平感を抱く人は、法改正による変化を感じていない傾向に
次に、「同法改正による変化」と「不公平感の有無」を比較。すると、「不公平だと感じたことがある」の回答者は、「何も変わっていない」が59.8%と最も多く、6割にせまった。一方、「不公平だと感じたことがない」の回答者が最も多くを占めたのは、「よくわからない」の47.3%で、「何も変わっていない」は38.3%にとどまった。「改正による環境の改善が実感できない」という感覚が、不公平感に繋がっていることがうかがえる。
4割以上は、中小企業に適用されても「何も変わらない」と予想
同法は、2021年4月より中小企業にも適用された。そこで、「適用範囲が広がったことにより、どのような変化があると思うか」を尋ねた。その結果、「何も変わらない」が45.4%と最も多くを占めた。一方で、「賃金や福利厚生などの不合理な待遇差が縮まる」と法改正に期待を寄せる女性も、12.4%と1割強いることがわかった。