
テレワークの導入比率は「2割未満」とした企業が大半
新型コロナウイルス感染症拡大は、多くの企業でテレワークという新たな働き方を導入するきっかけとなった。急激な労働環境の変化は、人々のメンタルヘルスにどのような影響を与えたのだろうか。まず、各企業におけるテレワーク導入比率を尋ねると、企業・産業医ともに「2割未満」とする回答が約5割を占めた。他方で、「ほぼ10割(テレワークのみ)」という回答は、企業側が12%、産業医が7%となり、「完全にテレワークのみ」という企業は多くない現状がみえた。多くの企業では、テレワークと出社勤務を併用しているようだ。

企業担当者の8割が「メンタルヘルス状況に変化なし」と回答、産業医とは大きなズレが
続いて、「テレワークによる従業員のメンタルヘルスの変化」を尋ねると、企業担当者は80%が「変わらない」としたのに対し、産業医では44%にとどまり、両者の回答に隔たりがあった。産業医では、次点の「(メンタルヘルスを)崩す人が増えている」という回答が33%と約3分の1に及んだのに対し、企業ではその半分の16%にとどまった。一方で、産業医では「(メンタルヘルスを)崩す人が減っている」が23%となり、こちらも企業側の4%と差があった。両者の回答の乖離から、企業側は従業員のメンタルヘルス変化に気づけていない可能性も示唆される。
テレワーク導入時に産業医からの助言があった企業は3割未満にとどまる
また、テレワークの導入・移行を進める過程で、「産業医によるアドバイスの有無と、あった場合参考にしたか」を質問したところ、企業側は7割以上が「助言はなかった」とし、産業医の回答も、半数以上の53%が「助言はしなかった」ことが判明。一方で、企業の29%は「助言があり参考にした」としているが、産業医では7%が「助言したが、参考にされなかった」と回答していることがわかった。
7割の企業が「新型コロナ対策ガイドライン」を運用するも、産業医の2割は「ガイドラインを認知していない」という状況も
最後に、「新型コロナ対策の業界別ガイドラインの認知状況とその運用実態」をヒアリングしたところ、企業側/産業医の両者とも回答比率は似た傾向を示した。7割前後が「(業種別ガイドラインの存在を)知っており、ガイドラインに沿って運用している」と答えた一方で、「(ガイドラインの)存在を知らない」としたのは企業側で27%、産業医が20%だった。指導や助言を行う立場にある産業医の2割が、ガイドラインを認知していないという実態も窺えた。