8割以上がLGBTを認知している結果に
LGBTとはセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつで、「Lesbian」(レズビアン、女性同性愛者)、「Gay」(ゲイ、男性同性愛者)、「Bisexual」(バイセクシュアル、両性愛者)、「Transgender」(トランスジェンダー、性別越境者)の頭文字をそれぞれとった単語だ。多様性が尊重される時代において、LGBTを取り巻く環境はどのように変化しているのだろうか。はじめに、LGBT非当事者に対し、「LGBT」の意味を理解しているかを調査した。その結果、「十分に理解している」が31%、「なんとなく理解している」が50.6%と、合わせて81.6%が理解していることが判明した。一方、少数ながら「意味も言葉自体も知らない」人が、3.6%いることもわかった。
非当事者でも「LGBTについて学びたい」人が約半数
続いて、LGBT非当事者に「LGBTの友人や知人がいるか」を尋ねた。すると、8割に迫る78.6%が「いない」と回答。「いる」という人は2割と少数だった。また、「LGBTについて学びたい・知りたいか」については、「とても思う」が12.6%、「どちらかといえば思う」が37%となった。友人や知人にLGBT当事者がいる人は少ないものの、「学びたい」、または「知りたい」と考えている人は多くいることがわかる。職場でLGBTに対する支援策があるとした回答者は約2割。認知向上に向けた課題とは
次に、企業における「LGBTへの支援制度」について調査した。「勤務先でLGBTに対して協力的な制度や取り組みを行っているか」を尋ねると、「行っている」は22.7%、「行っていない」は48.3%となり、支援策としての制度は未だに確立されていない企業が多いようだ。また、回答者の29%は「分からない」としており、約3人に1人が把握できていないという実態も見えた。会社が取り組みを行っていない場合は、把握も難しいと予想できるが、勤務先の制度や取り組みに関心を持たない人も一定数いると考えられる。企業による支援制度の普及にとどまらず、会社の制度や取り組みに関心を持つビジネスパーソンを増やすことも課題と言えそうだ。
日系企業は外資系企業よりも支援策実施企業が少ない傾向に
また、国内系企業と外資系企業でLGBTに対する取り組み状況を比較した結果、支援制度や取り組みを実施している企業は日系企業で20.4%となり、外資系企業の28.7%より8.3%低いことが判明した。具体的な取り組みは「LGBTに対する理解促進」
さらに、支援制度があると回答した人に対し、制度の内容を聞いた。すると、最も多かったのは「お祝い金、忌引き休暇などの制度が同性パートナーでも適用される」で36.6%、次いで「LGBTについて学ぶ研修」が36.1%、「LGBTイベントへの参加や協賛」が34.4%などとなった。LGBTへの理解度を高める取り組みを実施している企業が多く見られた一方で、「だれでもトイレ」や「更衣室」など、設備面の整備はあまり進んでいない状況も見受けられる。就職時に支援制度を重視した人は約2割。「理解されることを期待していない」との声も
では、LGBT当事者は、それらの制度を重視しているだろうか。勤める会社を決める際、LGBTに対する支援制度や取り組みの有無を重視したかを聞くと、「重視した」または「どちらかといえば気にした」が、合わせて20.6%となった。約8割が、支援制度を重要視していないという結果だ。支援制度を重視した人からは、「安心して働きたい」、「差別をなくし理解してほしい」という意見が挙がった。一方、重視していない人からは「そもそも理解してもらうことを期待していない」、「自身の就職時はLGBTが社会問題になっておらず、支援制度がまだなかった」などの声が聞かれた。