新型コロナウイルス感染症拡大による国内景気の急速悪化が原因か
新型コロナウイルス感染症拡大により、事業活動の縮小や自粛を余儀なくされた業界や企業が多いなか、企業の人手不足感はどのように変化したのだろうか。最初に、4月時点での「従業員の過不足」を正社員、非正社員と分けて聞いた。その結果、正社員では、従業員が「不足」との回答が31%となり、前年の50.3%より約20%弱下回った。非正社員でも同様の傾向がみられ、「不足」16.6%と、前年の31.8%から約15%下落している。一方で「人手が過剰」との回答は、正社員では21.9%と、前年から13.5%の増加、非正社員では21.6%と、前年の6.8%から14.8%も増加している。近年続いていた企業の人手不足感が、緩和しているともみられる結果だ。
業種別では「電気・通信」「農・林・水産」などで人手不足感が上昇
次に、「従業員が不足」している割合を企業規模別にみると、正社員・非正規雇用者ともに大企業でもっとも高く、正社員で38.7%、非正社員で19.6%という結果になった。業種別だと、正社員では「農・林・水産」と「建設」がともに48.2%と最多、「メンテナンス・警備・検査」で46.5%、「電気通信」で45.5%、「情報サービス」が44.6%と続いた。上位10業種中、9業種が前年よりも不足割合が低下するなか、在宅勤務による需要が増加した「電気通信」は、前年を10%以上も上回った。
また、非正社員の不足割合は、前年よりも増加した業種が正社員に比べて多いことも判明した。「電気通信」44.4%、「農・林・水産」38.5%、「医療品・日用雑貨品小売」29.2%と、この3業種は、前年の不足割合を上回っている。新型コロナウイルス感染症拡大による一時的な需要の伸びが関係していると予想される。