6月1日時点の内定率は6割強。前年同時期実績を約7ポイント下回る
昨今、就職活動は「売り手市場」を背景に、採用活動の早期化が進んでいる。しかし2020年4月には新型コロナウイルス感染症拡大にともない、全国に緊急事態宣言が発令。採用活動の鈍化が懸念されるなか、学生たちの就職活動はどの程度進んでいるのだろうか。まず6月1日時点での内定率を聞くと、文系・理系をあわせた全体の内定率は64%と、前年度の71.1%から7.1%下回る結果となった。5月1日時点では前年と比べて-0.9%とわずかな低下だったことと比べると、この1ヵ月で大きく差が広がったことがわかる。
内定が出た業界の首位は「情報処理・ソフトウェア・ゲームソフト」
次に、内定を出した企業の属性を聞いた。その結果、最も多く内定を出している業界は「情報処理・ソフトウェア・ゲームソフト」で32.2%、次いで「建設・住宅・不動産」が14.5%、「電子・電機」が10.9%となった。8割以上が対面での呼び出し「なし」。最終面接も「対面」より「オンライン」が主
また、選考解禁日にあたる6月1日当日の企業からの呼び出しの有無とその方法を、「対面」または「オンライン」に分けて聞いた。その結果、対面での呼び出しは全体の82.8%の学生が「なし」と回答した。一方、各選考段階において何らかの声がかかった学生に最終面接の方法を聞くと、「オンライン」が10.6%となり、「対面」の10.4%をわずかに上回った。内定決定直前の選考でも、対面ではなくオンラインで実施する企業もあるようだ。
学生のエントリーシート提出企業は平均14社超。前年を1.2ポイント上回る
一方、学生の企業へのエントリー数を尋ねると、エントリーシートの提出企業数は平均14.4社となり、前年の13.2社から1.2ポイント増加。コロナウイルスの感染拡大による景気低迷の危機感から、応募企業を増やす学生も多いことがうかがえる。選考過程をみると、筆記試験の受験社数は平均10.1社、面接試験の受験社数は平均7.4社とどちらも前年を上回るペースだ。選考のオンライン化により、学生自身の日程調整が容易となり、より多くの企業を受験可能となったことが予想される。
学生の約6割が「WEB面接によるミスマッチ」を懸念
WEB面接を用いた選考でミスマッチが起こるかを聞いたところ、学生全体の13.4%が「強くそう思う」、また46.3%が「そう思う」と回答。合計で59.7%の学生が、オンライン選考によるミスマッチを懸念していることがわかる。内定後に必要なフォローは「現場社員との面談」や「人事担当者との面談」が多い
また内定取得後、その企業に就職するか否かを決定する際に必要なフォローを聞くと、最も多かったのは「現場社員との面談」で52.2%となった。次いで、「人事担当者との面談」が42.5%、「社内や施設などの見学会」が39.8%だった。いずれも「オンラインで実施する面談や懇親会が必要」との回答割合より高いことから、直接足を運んで企業理解を深めたい学生が、多数いることがうかがえる結果だ。なお、内定後フォローについて寄せられたフリーコメントをいくつか抜粋する。
内定後フォローで志望度が上がったこと
・コロナ禍で他社の選考が遅れているのを考慮して、返答期限を長くしてもらえたこと(文系女子)
・選考が全部WEBだったため、内定後の会社訪問や社長を含めた食事会の案内をしてくれたこと(文系女子)
・定期的にメッセージが届いて、会社の近況を知ることができるのが嬉しいです(理系女子)
内定後フォローで志望度が下がったこと
・内定を受諾してから一向に音沙汰がないため、少し不安になる。個人的には、月1回くらいでいいので連絡がほしい(文系男子)
・他社の選考を早期に辞退するよう軽く圧がかけられた。他もじっくり見て納得する就活を、と余裕を見せてくれたほうが、志望度が上がる(文系女子)
・内定承諾後、本社にて6月1日に面接があったことは無意味だと感じた。コロナ禍においてメリットがない行動は企業への評価が下がり、辞退しました(理系男子)