「面接評価シート」がないことによるデメリット
まずは「面接評価シート」がないことによるデメリットを5つあげてみます。(1)記憶に頼った面接で、尋ね忘れが発生する
面接には「必ず聞いておくべき質問」が存在します。また、会社ごと(職種ごと)に聞いておきたい質問は必ずあります。面接評価シートを用いない場合、面接担当者はそれらすべての質問を覚えておく必要があるのです。例えば、「転勤がありますが大丈夫ですか?」といったことを聞かずに採用してしまい、後から「できない」と言われても取り返しがつきません。
(2)勘と経験に頼った面接
採用時の判定項目を細分化せずに面接をすると、「頭が良さそう」、「元気な印象」、「真面目そう」など、漠然とした評価をしてしまいます。頭の中にすべてをインプットして、応募者の能力を的確に分類できる人が一体何人いるでしょうか。これらの判定項目を明確に文書化し、面接評価シートに記載することで正確な面接が可能になります。
(3)面接官ごとに面接内容のバラつきがある
面接官は複数設置することが必要です。(1)と(2)のデメリットをご理解いただければ、別々の場所で違う担当者が面接をした時に、どれほど差が出るかおわかりだと思います。新しく面接官として参加してもらう人に、見るべきポイントを伝える最も良い資料は面接評価シートです。1次面接、2次面接、最終面接などのくくりの中では面接内容にバラつきがないようにし、また、複数の目で見ることで組織にとって好ましい応募者を選ぶ必要があります。
(4)面接経験がない人は面接できない
これまでの内容だけでもご理解いただけるかと思いますが、面接する側も緊張します。特に新人面接官の場合は、応募者より緊張していることもあります。何も見ずにいきなり面接することはできません。聞くべきことをきちんと聞き、聞いてはいけないことを安易に聞いてしまわないようにするためにも、しっかりとした面接評価シートが必要なのです。
(5)採用時の状況を振り返ることができない
これは、採用PDCAサイクルの「C(確認)」にあたります。PDCAはマネジメントサイクルのひとつで、ビジネスの現場のみならず、あらゆる場面で使えます。
Plan(計画)→Do(実行)→Check(確認)→Action(改善)
この「C」と「A」なしに、より良くなることはありません。採用活動における「確認」とは何かというと、「実際に採用した人の結果」を確認することです。
実際に、応募者を採用した後「思ったほど良い人物ではなかった」場合、採用に失敗したといえます。その時やるべきことは、「なぜ採用に失敗したか」を振り返ることです。その振り返りの時に使う資料が面接評価シートです。
入社して2ヵ月後にダメだと気付いた時、面接評価シートがなければ数ヵ月前の面接時を思い出す必要があります。なぜその人を見抜けなかったのか? どのような印象を持ったのか? なんの記録もなく3ヵ月以上前の面接を正確に思い出せる人はいません。
そして、「なぜ見抜けなかったのか」、「こういった項目を次回から質問する必要がある」とわかったら、その項目を面接評価シートに盛り込むことで同じ失敗を繰り返さなくなります。つまり、面接評価シートがないとPDCAの「C」と「A」ができないのです。