若年層では「リカレント教育」の認知度が低い傾向
人生100年時代と言われている現在、政府は人生の再設計ができる社会を実現するため、年齢にとらわれることなく学び直しや職場復帰、転職が可能となる「リカレント教育」を推進する方針を示している。そのような中、働き手はリカレント教育や学び直しについてどのように考えているのだろうか。まず、「リカレント教育」という言葉の認知度について調査した。「知っている」と回答した人は20.8%、「聞いたことはある」が25.7%、「知らない」が53.4%と、「リカレント教育」という言葉や意味を知っている人は半数以下にとどまる結果となり、言葉としてはまだ浸透していないことがわかる。
また、「知らない」と回答した人の割合を年代別に見ると、20代が62.8%、30代が56.4%、40代が42.3%となった。年代によって認知度に差があり、特に若年層でリカレント教育の認知度が低いことがわかる。
約6割が「学び直しをしている」と回答し、意欲的な人も多数
次に、「改めて学び直しをしたことはあるか」と聞くと、「ある」が40.7%、「今後学び直す予定がある」は16.3%、「ない」が43%という結果となった。「ある」、「今後学び直す予定がある」と回答した人を合わせると57%となり、約6割の人が「学び直し」に対して意欲的であることが見えてくる。また、「学び直しをしている」または「今後予定がある」と回答した人に「どのような学び直しをしているか(する予定か)」を聞いたところ、「プログラミング」や「英語」、「経営学」などが挙がった。学び直しの方法としては、「本の購入」、「学生時代のテキストの見返し」を使った独学や、「大学院への進学」、「大学の通信教育」、「ネット配信講座の受講」など、大学や民間企業が主催する学び直しの場を利用している人もいるようだ。
学び直しへの意欲から垣間見える危機感
次に、「改めて学び直しをしたことがない」と回答した人に対し、「学び直しをしたいと思うか」と尋ねたところ、「とても思う」が32.6%、「やや思う」が44.7%と合わせて77.3%となり、学び直しの経験がなくても意欲的な人が多いことが分かった。一方で、「あまり思わない」、「まったく思わない」は合わせて22.8%と、消極的な回答は少数だった。「とても思う」、「やや思う」と回答した人にその理由を聞くと、「自分の市場価値を高め、選択肢を増やせる」、「常に学び続けて成長したい」、「終身雇用が崩壊するといわれているなか、勉強し続けなければ今後生き残っていけないと感じる」といった声が聞かれた。時代の変化に対して、働き手自身が危機感を持っている様子が伺える結果だ。また、知識量を増やして仕事に活かしたい、自身の不足している部分を学び直しによって補いたいとするスキルアップを望む意見もみられた。
それに対し、「あまり思わない」、「まったく思わない」と回答した人にその理由を尋ねると、「仕事の現場で学ぶことのほうが身につくことが多いと思う」という、自身が勤める会社に合った知識を実務から学ぶべきだとする意見が出ている。
「英語」や「プログラミング」などの学び直しが人気
学び直しをしたいと思っている人に、「どのような内容を学び直したいか」を尋ねたところ、「英語・英会話」が最も多く、「プログラミング」、「経営学・経済学」と続いた。現在学び直しをしている人が行っている内容と同じ内容であることから、学び直しに対する働き手の関心が特定の分野に集中していることがわかる。ビジネスのグローバル化やIT技術の進歩によるIT市場の拡大が進む中、自分の市場価値を高めるために、学び直しの必要性を実感している様子がうかがえる。また、「学び直しに対する懸念点」について聞くと、「時間の確保ができない」、「金銭面の負担が大きい」と回答した人が多数いることがわかった。リカレント教育や学び直しに興味はあるものの、現在の仕事や家計状況により、時間と金銭面の問題がハードルになっている場合もあるようだ。