厚生労働省は2020年1月15日、同省が実施する「就職氷河期世代採用選考」の申し込み状況について応募者数の速報値を公表した。募集期間は2019年12月25日~2020年1月10日で、採用予定人数10名に対し1,934名からの応募があり、採用倍率は約190倍という非常に狭き門となっている。
就職氷河期世代への救いの手となるか。厚生労働省が「就職氷河期世代採用選考」の申し込み状況を公表

「就職氷河期世代」から始まった若者の就職難への打開策

日本全国において社会的に就職難に陥った、いわゆる「就職氷河期」。一般的には、1993年から2005年頃までの期間がこれに当たるといわれている。バブル期に多くの人員を採用した企業が一斉に採用数を絞り、当時は多くの若者たちが就職したくてもできない状況となった。1990年前後のバブル崩壊による日本経済の破綻が要因となり、若者の就職難を招いた社会現象である。

また、バブル崩壊後の特に厳しい雇用状況の中で就職活動を行った人たちは「氷河期世代」と呼ばれ、現在の30代半ば~40代半ばの世代がこれに該当する。大学卒業後、正規雇用の就職先がなかったことで、自らの意思に反してフリーターや派遣社員といった非正規雇用労働者にならざるを得なかった人も多くいた。現在、この世代に対する就労支援が社会的な課題ともなっており、政府が対応策として試みたのが今回の中途採用選考だ。

氷河期世代採用が、深刻化する人手不足解消の一手となるか

今回、厚労省は、新卒当時に正規雇用の機会に恵まれず、現在も相対的に苦しい立場にあると見られる就職氷河期世代を対象にしている。今後の流れとしては、2020年2月に筆記・作文試験による1次選考が、3月には面接による2次選考が実施され、同月30日以降に合格者が発表される予定だ。合格者は、厚生労働行政分野における政策の企画立案、施行等を担う常勤の係員として就労することになる。

今回の採用倍率190倍という数字を見ても、正規雇用として働きたい氷河期世代の人数は厚労省の想定を上回っていることがうかがえる。深刻化する少子化と人手不足を背景に、あらゆる企業が有能な人材を求めている今、時代と社会情勢にキャリア設計を大きく左右された氷河期世代が能力や意欲を活かせる場をつくることは、問題の打開策となるだろう。こういった就労支援が継続的に実施されると、さらに今後、厚労省だけでなく一般企業にも波及する動きとなっていくことを期待する。

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