6割以上の中間管理職が、働き方改革推進とともに業務量が増加
中間管理職の負担感について、働き方改革が進んでいる企業群とそうでない企業群に分けて、その回答を比較した。「中間管理職自らの業務量が増加した」との回答では、改革が進んでいる企業群では62.1%だったのに対し、取り組みが進んでいない企業群では48.2%となっており、働き方改革が進んでいる程、中間管理職の業務による負担感が増していることが分かった。このほかの項目でも、働き方改革が進んでいる企業ほど、負担感などの数値が高くなっている。
中間管理職の業務上の課題点、当事者たちと人事担当の認識には食い違いも
次に、中間管理職本人が課題と感じることについて尋ねると、57.5%と最も多かったのが「人手不足」で、続いて「後任者不足」(56.2%)、「自身の業務量の増加」(52.5%)となった。ところが、人事担当側の回答を見てみると、「働き方改革への対応の増加」(52%)や、「ハラスメントの対応の増加」(42.7%)、「コンプライアンスの対応の増加」(38.7%)といった項目が挙がった。中間管理職である当事者たちは、人材や時間のリソース不足を課題として感じている一方で、人事担当者は法やリスク対応といった、近年表面化している問題を中間管理職の課題だと捉えており、双方の課題認識には相違があることが明らかとなった。
管理職になってからの業務の変化は「残業増」、負担の度合いで感じ方に差
次に、中間管理職本人が感じる負担感の度合いに応じて「高群」「中群」「低群」の3つの層に分け、高群と低群の回答を比較した。管理職になってからの変化や意欲について尋ねると、「残業が増えた」が高群47.7%(低群は40.2%)、「管理職になって仕事の意欲が低下した」が23.8%(低群は18.6%)、「他の会社に転職したい」が27%(低群は20%)であった。働き方改革のしわ寄せが中間管理職へ?
同様に、抱えている課題について見ると、「学びの時間が確保できていない」が高群で63%(低群は41.1%)、「時間不足から付加価値を生む業務に着手できない」は64.7%(低群は38.7%)「スキル・知識不足から付加価値を生む業務に着手できない」は55.3%(低群は29.8%)、「後任者の不在」は68.9%(低群は53.1%)だった。いずれも負担感をより感じている高群で高い割合の回答が得られており、負担を多く感じているほど様々な問題を抱えやすい傾向にあることが窺える。
働き方改革は、「働き方のおけるプロセス全般を見直すこと」が本来の目的ではあるはずだ。中間管理職を含める全社員の負担軽減となるよう取り組むためには、企業側や人事担当が、各部署、役職における業務量を洗い出し、役割のシェアやプロセスの効率化といった抜本的な改善を進める必要があるだろう。